芦辺拓さんの「大鞠家殺人事件」についてまとめます!


この本を読んだきっかけ

ミステリーランキングなどでたびたび見かけるので、気になりました。

こんな人にオススメ

  • 大阪の昔の商人文化などに興味がある人
  • 戦争を題材とした小説が好きな人
  • 本格ミステリーが好きな人
  • 古典ミステリーが好きな人

「大鞠家殺人事件」あらすじ

むし子
むし子

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斬りつけられた血まみれの美女、
夜ごと舞いおどる赤頭の小鬼、
酒で溺死させられた死体―
怪異、謎解き、驚愕、これぞ本格推理。
大空襲前夜の商都・船場を舞台に描き、
正統派本格推理の歴史に
新たな頁を加える傑作長編ミステリ
〝物語作家″芦辺拓はここまで凄かった!

amazonより引用
むし子
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東京創元社の紹介文はこちら!

*第75回日本推理作家協会賞【長編および連作短編集部門】受賞作
*第22回本格ミステリ大賞【小説部門】受賞作
大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場。戦下の昭和18年、陸軍軍人の娘・中久世美禰子は婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁いだ。だが夫・多一郎は軍医として出征し、美禰子は新婚早々、一癖も二癖もある大鞠家の人々と同居することになる。やがて彼女は一族を襲う惨劇に巻き込まれ……大阪大空襲前夜に起きる怪異と驚愕の連続を描いた、正統派本格推理の歴史に新たな頁を加える傑作長編ミステリ! 第75回日本推理作家協会賞・第22回本格ミステリ大賞W受賞。

出版社より引用

この本の特徴やテーマ

大阪の昔の文化に触れられる!

この物語の舞台となっているのは大阪の「船場」という場所です。

私は一応大阪在住なので、その周辺には行ったことがありますが、「問屋さんの街」というイメージが強く、洋服とか繊維の問屋さんが多いイメージですね。

「船場センタービル」というのが有名で、東西1kmに渡って1~10号館まであり、約1000軒の店が並ぶ巨大問屋街があるのですが、この物語の中の「船場」はもう少し広い範囲のことを指しているのかなと思います。

「大毬家殺人事件」の中では、昔の「船場」の独特な雰囲気が丁寧に描写されており、またどういう土地なのかについて解説もあります。

また、「船場言葉」というものがあり、いわゆる大阪弁とは違った言葉にも触れられます。

むし子
むし子

「船場言葉」は公家言葉の影響を強く受けていて、
品の良い言い回しが多いみたいだよ

私は読んだことがないですが、谷崎潤一郎さんの作品には船場言葉が見られるようですね。

丁稚など商人文化の制度が分かる!

丁稚奉公(でっちぼうこう)という言葉自体は皆さん知ってるかと思いますが、その制度についてまでは詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

丁稚というのは商家に住み込みで奉公する幼少の者のことを言い、江戸時代に最も多かったようです。

明治時代からは徐々に減っていきますが、大鞠家では昭和になってもこの風習が残っていました。

また、丁稚は丁稚→手代→番頭という順番で出世していきます。

現代で言うところの丁稚=平社員、手代=中間管理職、番頭=役員クラス、といった感じでしょうか。

戦争についての描写も詳しく描かれている!

第二次世界大戦の時の話がメインなので、戦争についても描かれています。

特に「大阪大空襲」についての描写はけっこう細かく描かれています。

ミステリーとして楽しく読めるのはもちろんですが、戦時中の大阪の様子を知るのにもいい資料なのではないかと思います。


感想(ネタバレあり)

1ページが上下段に分かれている本を読むのが初めてだったので、けっこう大変でした…(汗)

眼も疲れるし、なかなか進まないし…。

でも、面白かったので、思ったよりはサクサク読めてよかったです。

さすが、大阪出身の作家さんが書いただけあるな、と思いました。

もちろん著者が船場言葉を話すわけではないと思いますが、大阪出身の作家さんでなければ、ここまで書けなかったのではないかな、と思います。

独特な言い回しとか、臨場感のある会話とか、読んでいて落語を聞いているかのような感覚になりました。

「船場」という場所についても、昔はそんな感じの場所だったのか、というイメージが頭の中で映像化できるようでした。


 

ストーリーはと言うと、本格ミステリーという感じで、面白かったですね。

トリックもたぶん理解できたと思います。

ただ、口コミでも書いてる人が多いですが、犯人はけっこう予想つきやすいのかな、と。

それから、一部始終を推理するのが、最後に急に出てきた人っていうのが、ちょっとズッコケそうになったかな…。

最初に出てきた探偵の方が解決するのかと思って読んでたら、あんなことになっちゃったし…。

まぁでも、最後に伏線を全部回収してスッキリ終わったので、爽やかな読後感ではありました。

ただ、犯人の動機も理解はできたのですが、いきなり殺意を抱くほどまでになるかな?という疑問は少し残りました。


 

古典ミステリーが好きな人はさらに楽しめると思います。

古典ミステリーへのオマージュが出てきたり、いろんな作品名が出てきたりするので、詳しい人はきっと嬉しくなるはず。

あと、全体的に女性視点で描かれていて、女性の逞しさやパワフルさなどが感じられたのがよかったですね。

大阪の商人文化では、女性がけっこう強かったのかな?と想像したのですが、どうなんでしょうか。

最後に、個人的に表紙が好きですね(笑)

なんだかものすごい物語が始まりますよ、というおどろおどろしい感じがいいです。


著者紹介

1958年大阪府生まれ。同志社大学卒。86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞に佳作入選。90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。著作は『綺想宮殺人事件』『スチームオペラ』『奇譚を売る店』『時の審廷』『異次元の館の殺人』『金田一耕助VS明智小五郎 ふたたび』など多数。


出版社より引用


まとめ

芦辺拓さんの「大毬家殺人事件」についてまとめました。

かなり読み応えのある作品で、ミステリーとしても、戦時中の大阪の商人文化を知るという意味でも、充分楽しむことができました!