本のむし子

40代主婦の読書日記ブログです。読んだ本の感想などを気ままに書いていきます。

ネタバレ


11/18に映画が公開される
「ザリガニの鳴くところ」についてまとめます!!
アメリカでは大ベストセラーとなっている作品です!


この本を読んだきっかけ

11/18に日本で映画が公開されるという情報を知り、予告を観てみたところ面白そうだったので、原作を読んでみようと思いました。


こんな人にオススメ 

    • 子供の成長物語が好きな人

    • 自然が好きな人

    • 海外ミステリーが好きな人

    • 推理しながらミステリーを読みたい人

あらすじ

【2021年本屋大賞 翻訳小説部門第1位!】全世界1500万部突破! 2019年・2020年アメリカで一番売れた小説
ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。

出版社より引用

主な登場人物

○キャサリン(カイヤ)・クラーク…主人公。6歳で家族と離れ離れになり、湿地にある小屋で一人暮らしている。

○テイト…兄ジョディの友人で、小さい頃からカイヤのことを知っている。学校に行っていないカイヤに読み書きを教える。カイヤの初恋の人。

○ジョディ…カイヤの兄。母や他の兄弟と同じく、カイヤが6歳の時に出て行ってしまうが、成人した後に再会する。

○チェイス・アンドルーズ…村の青年。カイヤに近付いてくる。

○ジャンピン&メイベル夫妻…船着き場の燃料店「ガス&ベイト」の店主である黒人夫妻。カイヤに優しく接する。

○トム・ミルトン…カイヤの弁護人。

この本の特徴

自然の描写が細やか!

主人公のカイヤは湿地に住んでいるので、大自然に囲まれて暮らしています。

著者が動物学者ということもあり、自然についての描写が本当に細やかで豊かです。

虫や鳥、動物についての描写がところどころ出てくるのですが、初めて知ったようなこともいくつかありました。

例えば、メスの蛍は交尾後に別のオスを騙して呼び寄せて食べてしまうとか、

メスのカマキリは交尾後にその相手のオスを食べてしまうとか…。

虫好きの人にとっては当たり前の知識だったりするのかもしれませんが、私は大の虫嫌いなので…(笑)

自然に興味ある人や、虫や鳥に興味のある人が読んだら、きっとより楽しめる本だと思います。

一人の女性の人生を描き切っている!

この本では、主人公であるカイヤという女性の一生が描かれています。

家族に捨てられた6歳の時の話から、成人してからの数年までの話が主ですが、

亡くなる時のことも描かれているので、この女性の一生が描かれていると言っていいと思います。

「湿地のゴミ」と呼ばれ蔑まれてきた少女は、幼少期からどのような人生を送ってきたのでしょうか。

一人で食べていかなければいけない生活のことはもちろんですが、テイトやチェイスといった男性との恋愛についても描かれています。

読んでいるうちに彼女のことを応援したくなる人が多いと思います。

一昔前のアメリカの雰囲気がわかる!

この本の舞台となっているのは、1950〜60年代のアメリカ南東部ノース・カロライナ州です。

この年代は、アメリカで黒人が人種差別の解消を求める公民権運動が最も盛んだった年代ですが、まだまだ黒人差別が激しいことが、この本の描写でもわかります。

白人の少年がジャンピンのことを指差しながら「ニガー」と言い、石を投げつける場面があります。

今のアメリカでは、さすがにこんなことはないのでしょうが、今でも黒人差別に関するニュースを見たりするので、永遠に根深い問題なのだと思います。

また、カイヤは白人ですが、彼女のような白人の貧困層への差別もあるのでしょう。

アメリカで暮らしたことがないので、そういった差別を肌で感じたことがないのですが、この本はアメリカに住んでる人にはもっと色々と感じるところがある本なのかな、と想像しました。

感想(ネタバレなし)

どの口コミやレビューを見ても大絶賛されているこの本ですが、私は最後に驚きのあるミステリーだと思って読んでしまったせいか、少し厳しい評価となってしまいました。

自分が勝手にどんでん返しのミステリーだと期待したのが悪かったのですが(笑)

個人的にはミステリー要素はあまり楽しめませんでした。

これは、ミステリー要素のある成長物語&恋愛物語といった感じじゃないでしょうか…。

自然の描写がすごくリアルで、私もこの物語の沼地の中にカイヤと一緒にいるような気持ちにはなりましたし、カイヤの成長をめちゃくちゃ応援もしました。

この本の帯に「この少女を、生きてください。」って書いてあるんですよ。

その言葉通り、私もカイヤの人生を一緒に生きた気持ちになりました。

6歳からほぼ一人で暮らさなければならなかったこの少女を応援しない人はいないでしょう!

いや、案外いるかな…(笑)

私は必死で応援したので、彼女の恋愛についてももちろん応援して、彼女が罪を着せられた時には絶対無罪になってほしい、と切に願いました。

彼女に寄ってくるチェイスにもかなりイライラしながら読みました。

 

あと、私は海外の翻訳作品に苦手意識があって、この本も511ページもあるので、読めるか不安だったのですが、大丈夫でした。

海外ミステリーが好きな人なら、スラスラ読めるかと思います。

著者紹介

 

ジョージア州出身の動物学者、小説家。ジョージア大学で動物学の学士号を、カリフォルニア大学デイヴィス校で動物行動学の博士号を取得。ボツワナのカラハリ砂漠でフィールドワークを行ない、その経験を記したノンフィクション『カラハリ──アフリカ最後の野生に暮らす』(マーク・オーエンズとの共著、1984年)(邦訳は1988年、早川書房刊)が世界的ベストセラーとなる。同書は優れたネイチャーライティングに贈られるジョン・バロウズ賞を受賞している。他にも,動物にまつわるノンフィクションであるThe Eye of the Elephant、Secrets of the Savanna(ともに共著)を発表。また、研究論文は《ネイチャー》誌など多くの学術雑誌に掲載されている。現在はアイダホ州に住み、グリズリーやオオカミ、湿地の保全活動を行っている。69歳で執筆した本作が初めての小説である。

amazonより引用


69歳で初めて執筆した本とは、ビックリですよね。

しかもそれが全世界でベストセラーになるとは、すごいです。

感想(ネタバレあり)

ここからは、ネタバレありの感想を書いていきますので、読みたくない方は読まないで下さい!

 
 
 
 

最後、カイヤがチェイスを殺したのではないかという証拠を、テイトが見つけてしまうのですが、個人的には残念な終わり方でした…。

カイヤがやったんじゃないよね?まさかテイトが犯人?なんて思いながら読んでたんですけど…。

だって、めちゃくちゃカイヤのこと応援しながら読んだんですよ?!(笑)

無実になった時も「やったー!よかったねカイヤ!!」なんて喜んでたんですよ?

なのに…、結局殺してたんかーい!!って叫びたくなりました…。叫んでませんが…。

何でそんな証拠をずっと隠し持ってたんでしょう。

いつかテイトに見つけられるとは想像しなかったのかな。見つけてもらいたかったのかな。

チェイスはただの浮気者かと思ってたけど、カイヤのこと本気で好きだったんでしょうかね。

野性の地で育ったカイヤは、自然の法則に従って、チェイスを殺したのかな。

どういう気持ちで、無実になってからの人生を過ごしたのかな。

無実になってから亡くなるまでの人生がほぼ語られていないので、気になりました。

帯に「終わりが、もう、あの、ページを、破って燃やしたい。」って感想が書いてあるんですけど、

どこかのレビューで、帯でネタバレしないでほしい、って書いてる人がいました。

私もその帯読んでしまってたんですけど、それでも違う結末を期待して読みましたよ。

なので、余計に残念な気持ちが勝ってしまいました。

最近、帯が大げさなのとか、ネタバレ気味な本、多くないですか?(すみません脱線しました笑)

 

いろいろ言ってしまいましたが、面白くなかったわけではないんです。

少しミステリー部分が期待外れだったのと、結末が残念だった、ということです…。

まとめ

もうすぐ映画も公開されるので、もしそれまでに原作を読んでおきたい!と思う方は、ぜひ読んでみて下さいね!

映画は映像が綺麗だという口コミをチラホラ見るので、私も観に行くかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

こんにちは!

今年の話題作、結城真一郎さんの
「#真相をお話しします」についてまとめます!


この本を読んだきっかけ

話題作ということで、よく目にする機会があり、読みたいと思いました。

図書館で予約していましたが、3ヶ月くらい待ちました。


こんな人にオススメ 

    • どんでん返しもののミステリーが好きな人

    • ミステリー短編集が好きな人

    • 話題の本を読みたい人

    • 推理しながらミステリーを読みたい人


「#真相をお話しします」あらすじ

出版社によるあらすじ紹介

子供が四人しかいない島で、僕らは「YouTuber」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとたちがよそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)。日本の〈いま〉とミステリが禁断の融合! 緻密で大胆な構成と容赦ない「どんでん返し」の波状攻撃に瞠目せよ。日本推理作家協会賞受賞作を含む、痺れる五篇。

出版社より引用


あらすじを詳しく紹介します!

惨者面談

家庭教師の営業として働いている東大生の片桐は、ある日、矢野悠という小学生の家に営業に行く。

約束の時間より少し早く着いてしまった片桐は、矢野家の前に生ゴミが散らばっているのを見つける。

ドアホンを鳴らしてもなかなか出なかったが、しばらくして母親が出た。

母親は片桐との約束を忘れている様子で、家の中を片付けたいからもう少し待ってて欲しいと言う。

20分以上待たされた後、家に入り話をするが、母親の手にはなぜかゴム手袋がはめてある。

片桐はいつも通り営業トークを飛ばすが、中学受験に興味がある親子のはずなのに、なぜか反応が鈍いようだった。

他にもおかしいことばかりで、片桐は何か怪しいと思う。

その違和感は一体何なのかー。


ヤリモク

「僕」には、大学生の娘がおり、大学生では買えないようなブランド物をたくさん持っていて、マッチングアプリでパパ活のようなことをしているのではないか、と妻から相談されている。

そんな「僕」は、マッチングアプリで女性と会うことをやめられないのだ。

今日は、娘と髪型も背格好もよく似たマナという女性と会っている。

2人はすぐにいい感じになって、僕はマナの家に行くことになった。

僕は、マナの家に入ってから、何か違和感のようなものを感じる。

マナは何者なのか、僕はどうなるのかー。


パンドラ

「僕」と妻は、何年間か子供を授からなかったが、3年ほど経ってようやく娘を授かった。

僕は、不妊で悩んだ経験から、妻の了承のもと、精子提供をすることにした。

それから15年が経ち、僕の精子提供によって生まれたという「娘」が会いたいと言ってきた。

その娘は、はっきりさせたいこと、があると言う。

一体それは何なのかー。


三角奸計

大学生の時の同級生である、桐山、茂木、宇治原の3人は、リモート飲み会を開いている。

桐山には彼女がいるが、その彼女には遠距離恋愛中の婚約者がいるため、不倫のような関係である。

また、宇治原は大阪に転勤になったことで、婚約中の彼女と遠距離恋愛になっているが、どうやら彼女が浮気をしているのではないか、と疑っている。

リモート飲み会の途中で、宇治原は桐山だけに対して、茂木の家に女がいると言い、その女が自分の婚約者であり茂木と浮気している、と言う。

さらに、今から茂木を殺しに行くから止めるな、と言い出す。

宇治原と茂木は、隣同士のマンションに住んでいるので、すぐに行ける距離である。

桐山はなんとか宇治原を止めようとするがー。


#拡散希望

渡辺珠穆朗瑪(チョモランマ)は、両親と匁島(もんめじま)に移住してきた。

島には小学生はチョモランマを含めて4人しかいない。

島に元から住んでいる凜子と、チョモランマと同じく移住してきた砂鉄と口紅(ルージュ)である。

凜子だけはスマホをもっており、人気のYouTuberについて教えてくれたり、一緒にYouTuberにならない?などと言っていた。

ある日、ピンクのモヒカン頭の男がチョモランマたちに接触してくるが、その男が何者かに殺されてしまう。

その日からチョモランマたちに対する島民の態度がなぜかよそよそしくなる。

島民だけでなく、凜子の態度も変わってしまったのだった。

凜子と島民の態度が一変した理由は何なのかー。


この本の特徴

題材が今風!

この本は、Z世代と呼ばれる10代〜20代前半の人にウケてるらしいのですが、それもそのはず、扱われている題材が今時のものばかりなんです。

マッチングアプリやパパ活、リモート飲み会、YouTube、激化する中学受験など、今の若者に親しみのあるものばかりが、テーマとなっています。

アラフォー主婦の私には、あまり馴染みのないものばかりです…。

オチが分かったと思ってからの一捻りがすごい!

少しネタバレ気味になってしまいますが、この本のすごい所は、オチが分かったと思ってから、さらにもう一捻りある所だと思います。

けっこう早い段階でオチが予想できてしまう話もあるんですが、それだけでは終わらないんですよ。

一つの話で、何度かどんでん返しが味わえるので、どんでん返しが好きな人はぜひ読んでみて下さい。


感想(ネタバレなし)

すごく話題になってて、よく見かけることがあったので読んでみましたが、話題になる理由が分かる気がしました。

普段あまり読書をしない人でも、サラッと読みやすく、それでいてびっくりさせられるような話ばかりなので、エンタメ性も高いですよね。

こういう本なら読みたい、と思う人も多そうです。

この本の特徴でも書きましたが、何回かひねりのある話ばかりで、すごいなぁと思いました。

5つの物語、どれも印象に残るものばかりで、面白かったです。

ただ、短編なのでサラッと種明かしされちゃったのが、個人的には少し物足りなく感じたので、著者の長編はどんな感じなのか、興味がわきました。


著者紹介

 

1991年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。2018年、『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、2019年に同作でデビュー。2020年に『プロジェクト・インソムニア』を刊行。同年、「小説新潮」掲載の短編小説「惨者面談」がアンソロジー『本格王2020』(講談社)に収録される。2021年には「#拡散希望」(「小説新潮」掲載)で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。同年、3冊目の長編作品である『救国ゲーム』を刊行し、第22回本格ミステリ大賞の候補作に選出される。

出版社より引用



感想(ネタバレあり)

ここからは、ネタバレありの感想を書いていきますので、読みたくない方は読まないで下さい!

 

「惨者面談」…母親が偽物で犯人だということはかなり最初の方で予想できました。息子が問題の答えに「110」ばかり書く所で確信に変わりましたが、息子も偽物だということは、分かりませんでしたねー。

偽物の息子も、警察が来たら自分も捕まってしまうかもしれないのに、さすがにまずい状況だと思ったんでしょうか。

「ヤリモク」…僕がマッチングアプリ殺人事件の犯人だということは予想できたし、マナが何か企んでることもわかったので、最後どうなるかと思いながら読みました。

そんなに意外性はなかったかな…。

「パンドラ」…どこかでこういう話、読んだことがある気がするんですよね。

しかも、少し前に読んだ本も、精子提供が絡んだ話でした(笑)

血液型が思っていたのと違うって話もよく聞くし、ミステリーでも割と題材になってる感じもするので、この話もそんなに驚きはしなかったかな。

「三角奸計」…桐山の交際相手が宇治原の婚約者なのは予想できましたが、茂木の家にいるらしい女も、宇治原の婚約者なのか、と予想してしまいました(笑)

3人とも同じ1人の女と関係を持ってることが分かった!みたいな展開かな、と(笑)

さすがにそこまでひどい女じゃなかったか…。

でも、宇治原もそんな簡単に殺さなくてもいいのに。というか、そんな簡単に人を殺せるの怖すぎですよね。

「#拡散希望」…やっぱりこれが一番インパクトあったかな。

子供の名前がキラキラネーム過ぎて、まず衝撃!

親がコソコソしてるのはYouTuberなのかな、って予想はできました。

それにしても、3人の親が最悪すぎるし、こんなYouTuberが移住してきたら島の人も大迷惑ですよね。

面白かったけど、なんだかモヤモヤする話でした。

 

どれもめちゃくちゃどんでん返しかと言われるとそこまでではないし、騙されるまではいかなかったので、少し物足りなさはありますが…面白いのは面白いです。

簡単に人を殺し過ぎな点も少し気になりましたが…。

Twitterとか読書メーターなんかを見てると、少し期待し過ぎたかな…という感想もまあまあ見かけるので、普段ミステリーをたくさん読んでいる人と、そうでない人で、感想は分かれるのかもしれないですね。


まとめ

普段あまりミステリーを読まない人や、読書をしない人などには、かなりおすすめできる本だと思いました。

まだまだ若い作家さんなので、これからも期待できそうですね!

こんにちは!

前作の「いけない」が話題となった
道尾秀介さんの「いけないⅡ」を
ネタバレありで紹介します!


この本を読んだきっかけ

今年、読書にハマってから、道尾秀介さんの本を7冊くらい読みました。

その中に「いけない」があって、なかなか他にはない仕掛けの本で、

楽しい読書体験になったので、続編も読みたいと思いました。

普段は図書館を利用していますが、この本はあまりに気になって購入しました!


こんな人にオススメ

    • 前作の「いけない」が好きな人

    • 道尾秀介さんのファンの人

    • 推理したり、謎解きするのが好きな人

    • 不気味な感じのミステリー・ホラーが好きな人

    • 楽しい読書体験がしたい人


「いけないⅡ」あらすじ

大きな話題を読んだ”体験型ミステリー”第2弾。
第一章「明神の滝に祈ってはいけない」
桃花はひとり明神の滝に向かっていた。一年前に忽然と姿を消した姉・緋里花のSNS裏アカウントを、昨晩見つけたためだ。失踪する直前の投稿を見た桃花には、あの日、大切にしていた「てりべあ先生」を連れて姉が明神の滝に願い事をしに行ったとしか思えない。手がかりを求めて向かった観瀑台で桃花が出合ったのは、滝の伝説を知る人物だった。

第二章「首なし男を助けてはいけない」
夏祭りの日、少年は二人の仲間を連れて大好きな伯父さんを訪ねる。今夜、親たちに内緒で行う肝試し、その言い出しっぺであるタニユウに「どっきり」を仕掛けるため、伯父さんに協力してもらうのだ。伯父さんは三十年近くも自室にひきこもって、奇妙な「首吊り人形」を作っている。その人形を借りて、タニユウの作り話に出てきたバケモノを出現させようというのだ。

第三章「その映像を調べてはいけない」
「昨夜……息子を殺しまして」。年老いた容疑者の自白によれば、息子の暴力に耐えかねて相手を刺し殺し、遺体を橋の上から川に流したという。だが、その遺体がどこにも見つからない。必死で捜索をつづける隈島刑事は、やがてある「決定的な映像」へとたどり着く。彼は先輩刑事とともに映像を分析しはじめ——しかし、それが刑事たちの運命を大きく変えていく。

そして、書き下ろしの終章「祈りの声を繋いではいけない」
――すべての謎がつながっていく。前作を凌ぐ、驚愕のラストが待つ!
各話の最終ページにしかけられたトリックも、いよいよ鮮やかです。

出版社より引用


出版社の担当編集者さんによる紹介

『いけないⅡ』は、文庫化されたばかりの前作『いけない』と同コンセプトで書かれた、まったく新たな物語です。
各章の最終ページに配された写真を見た瞬間に、物語が別の様相を呈するという“体験型ミステリー”スタイルを踏襲しつつ、今作では前作以上に章末の写真に意味を持たせたかった、と著者の道尾秀介さんは語ります。その言葉通り、今作に挿入された写真は、どれも見た瞬間に強烈な違和感を抱かせるものばかり。読者の想像と推理を掻き立てるための、より強力なトリガーになるでしょう。この写真、道尾さんが思い描いたイメージに近付けるため、道尾さん、カメラマン、編集者とで(時に被写体も兼ねながら)長い撮影時間をかけて入念に作り上げたものです。ご期待ください。
さて、『いけないⅡ』は『いけない』とはまったく別の物語ですが、前作の物語がなければ今回の物語も生まれなかったことを裏付ける、ある仕掛けが施されています。『いけない』をお読みになった方には、そこも楽しんでいただけると思います。

出版社より引用


感想

ネタバレを読みたくない人のために、先に感想を書きますね!

いやぁー、またまた面白かったですよ!!

前作の方が良かった!という声もチラホラ?聞こえてきたりしますが、

私は、今作の方が好きかな。

今作の方が、話がスッキリまとまってて、全体的に読みやすく感じました。

謎解きに関しても、第1章で、わからーん!!と思ったことの正解が、

次の第2章で書かれてたりするので、モヤモヤを引きずらずに済むのが、個人的には良かったです。

前作よりも少し親切設計になった印象でした。

モヤモヤを引きずりたいタイプの人は、少し物足りなく感じるかもしれません(笑)

前作に劣らず、不気味で不穏な雰囲気は相変わらずあって、

こういうミステリーを書かせたら、道尾さんって最高に上手いなぁと、しみじみ感じました。

何度か背筋がゾワゾワっとしましたよ。

本のカバーも怖いですし(笑)

それと、登場する地名がまた不気味ですよね。

よくこんなに色々な地名を思い浮かぶなぁ、と思います。

前作を読んで楽しめた人には、自信を持って、今作もオススメします!


ネタバレありのあらすじ&考察!!(見たくない人は見ないでね)

この本に関しては、考察が盛り上がると思うので(すでに盛り上がってる?)、

あらすじを紹介しながら、ネタバレありで、考察してみたいと思います。

第一章「明神の滝に祈ってはいけない」

○最初の写真…胸の前で両手を組んで祈っている女子高生の写真。

第1章にだけ、最後だけでなく、最初にも写真が載っています。

その最初の写真は、初めて見た時には何の違和感も感じません。

読み進めていくと、姉の緋里花が行方不明になっており、

避難小屋の管理人である大槻が殺したのか?と思わせる記述が多々あり、

最初の写真も緋里花の写真なのかな?と思って、読み進めます。

たぶん、ほとんどの読者も、そう思って読んでいくと思います。

そして第1章の最後で、桃花は大槻が小屋から離れた隙に、小屋の冷凍庫を調べようとします。

そしてその中に、女性の遺体があることを発見します。

ところが、大槻が戻ってきてしまい、桃花は慌てて冷凍庫の中に隠れます。

冷凍庫の扉が閉まってしまわないように、右手の中指を挟み込みますが、

大槻が扉を思いっきり閉めたため、爪がはがれてしまいます。

なんとか冷凍庫からは逃げ出しますが、観瀑台で大槻と向き合うことになり、

「何をしてるの?」と言われ、「姉が見つかるように祈っています」と、

手を組んで祈っているところの写真を撮られます。

大槻は、その写真を見れば、冷凍庫に隠れていたのが桃花だと分かると思ったのですが、

「爪がはがれた右手の中指」が写っておらず、首をかしげます。

そして最後、大槻が滝に身投げするところで、物語は終わります。

読者はこの時点で、冷凍庫の中の女性が姉の緋里花で、

桃花はなんとか逃げ切ったのかと思ってしまいますが…、

冷凍庫の遺体は、29年前に行方不明になった大槻の母親の遺体で、

緋里花は行方不明のまま見つかっていない、ということが、最後に明かされます。

○最後の写真…山小屋の入り口の写真。右に雪だるま、左に「干支だるま」がある。 

この最後の写真を見て、あれ?と気付くことがあります。

これまで説明したあらすじは、子年に起きたことだと、読者は思わされています。

ところが、写真に写った「干支だるま」は、ネズミではなく、「牛」なのです。

あれ、いつの間に1年進んでるの?と混乱するんですが、

実際には、大槻目線で描かれていたことは、子年ではなく、丑年の出来事だったのです。

桃花のパートは、子年なので、時系列がズレていることになります。

隈島刑事が捜索しているのは、緋里花ではなく、桃花だったということですね。

・疑問点

大槻はなぜ父親の罪を隠し続けていたのか?

自分がやったことではないのだから、警察に言ったらよかったのでは?と思いました。

自分の父親が殺人犯だ、とは言いたくなかったのでしょうか。


第二章「首なし男を助けてはいけない」

第2章のあらすじは、出版社のあらすじに少し書いてあるので、その続きから説明します。

タニユウを驚かせようとして、真たちは、作った「首なし男」の人形を木に吊るします。

しかし、伯父さんが運転ミスをして、首なし男を吊るした木に、車を激突させてしまいます。

その衝撃で、首なし男が木から外れて、川に流されていってしまいます。

伯父さんの家に戻ってから、真たちはタニユウとの待ち合わせ場所に向かいますが、

待ち合わせ時間を過ぎても、タニユウは現れません。

真は、近くを見て来ると言い、伯父さんが車をぶつけた木の辺りに着きます。

するとなんと、川に流されたはずの首なし男が、同じ場所にぶら下がっているのでした。

真は、伯父さんが轢いてしまったのは、首なし男ではなく、タニユウだったのではないか?と考えます。

真は再び伯父さんの家に行き、伯父さんに「川を流れてったの…人間だったの?」と聞きます。

すると伯父さんは、体を痙攣させながら「ごぉめんなさい」と言いました。

しかし、タニユウは実際には、美容室のマネキンを盗んで、警察に捕まっていただけで、

タニユウもマネキンを使って、真たちを驚かせようと企てていたのでした。

伯父さんがはねたのは、やはり首なし男で、昼間に川に流された首なし男を、伯父さんが夕方までの間に、川から拾い上げて元の木に戻したのでした。

真は伯父さんに誤解したことを謝ろうと、伯父さんの部屋に行きます。

○最後の写真…窓の柵に、少し濡れた伯父さんのつなぎがかかっており、その手前に、人形?が吊るされている

この写真は、全4章のうちで1番理解しやすいと思います。

吊るされているのは、人形ではなく、自殺した伯父さんです。

伯父さんは、中学生の時に、川で自分の父親のことを死なせてしまったことが原因で、それから引きこもりになったのです。

真に「川を流れていったのは人間だったのか」と聞かれて、その時のことだと思ってしまい、罪の意識から自殺してしまったのでした。


第三章「その映像を調べてはいけない」

千木孝憲は、息子の孝史から暴力を受けていたことから、息子を殺してしまい、死体を川に流したと言うが、いくら捜索しても遺体は見つからない。

隈島刑事は千木の自宅を訪ねた時に、物置のシャベルが変に綺麗なことが気になり調べると、

ごく最近水で洗われた形跡があることに気付き、遺体を埋めるのに使ったのではないかと、疑います。

また、千木の家の中でドライブレコーダーを見つけ、それに映った映像を調べることにします。

その結果、千木は森に遺体を捨てに行ったのではないか、ということがわかりますが、それ以上は何の手がかりも得られませんでした。

千木本人に森まで同行させますが、どの辺りを車で走ったか記憶が曖昧で覚えていない、と言います。

隈島はもう一度ドライブレコーダーを良く見ると、森にある木の枝先に咲いている白い花が映っているのを見つけます。

その花について、植物に詳しい教授に聞くと、野生のサザンカであると分かり、森のどこにあるかが分かれば、大きく進展するかと思われたが、

サザンカは森のあちこちに咲いている花でした。

千木夫妻は、息子のことを殺してしまった時のことを回想します。

息子を刺してしまったのは、実は妻の智恵子で、千木は自分が殺したことにしたのでした。

また、ドライブレコーダーの映像についても、森に向かったことが警察にバレるように、わざと仕向けたものなのです。

それでは、息子はどこに埋まっているのか?となりますが、

息子は一番好きだった花の下、一輪きりの花の下、に埋まっているようです。

○最後の写真…1997年益子町コスモス祭りの写真

息子が好きだった花は、コスモスだったのです。

コスモスってどこかに出てきたっけ?と分からなかったのですが、読み返してみると、千木家の居間の座卓にある一輪挿しにコスモスが咲いている、という描写がありました。

つまり、息子の遺体は、千木家の居間の下にある?という疑問を残して、最終章へ突入します。


終章「祈りの声を繋いではいけない」

○緋里花二十歳の誕生日の2日前(5/1)

隈島は、ある報告をするために、緋里花の両親と向き合っています。

その半年ほど前、彼女のスマホから電波が発せられたことが一度だけあり、彼女はまだ生きているのではないか、と思われたのです。

また、緋里花の両親は、桃花からの電話なら緋里花が出るかもしれない、という期待を持って、桃花の番号をそのまま引き継いだスマホを、家に置いています。

しかし、千木孝史の遺体を捜索していた作業の中で、緋里花の遺体と思われるものが、森で見つかったことを、隈島は報告しに来たのでした。

○5/1、別の場面

真と智恵子は、明神の滝で出会う。(面識はない)

真は伯父さんの自殺以来、声が出なくなってしまっています。

滝に身を投げるために来たのですが、智恵子が保険証を落としたのを見つけ、すんでのところで、自殺を思いとどまります。

○緋里花二十歳の誕生日の前日(5/2)

隈島は、森で見つかった遺体について千木智恵子に話を聞きに行きます。

隈島が帰った後、智恵子は息子を居間の床下に埋めた時のことを回想します。

息子の遺体を埋めようと、床下を調べると、緋里花が埋まっていたのでした。

千木夫妻は、緋里花の遺体がいつか掘り出されるように、森に埋めに行ったのでした。

緋里花のリュックサックに入っていたスマホは、孝史と彼女を結びつけるものが入っている可能性を考えて、千木夫妻が持っていました。

ある日隣県に行き、そのスマホの中身を見ていくと、孝史が緋里花と会っていた証拠が残っていました。(前述した、緋里花のスマホから一度電波が発せられた時の話です)

真は保険証を届けに千木家に向かうが、千木家で火事が起きているのを発見し、叫び声を上げて、近隣の人々に助けを求めたのです。

○緋里花二十歳の誕生日(5/3)

隈島は智恵子が入院する病院にお見舞いに行き、そこで真に出くわし、真が智恵子に届け物をしに来たことを聞きます。

○最後の写真…智恵子のベッドの床頭台に置いてあるスマホの写真。着信相手は「桃花」となっている。

最初に読んだ時は意味が分からなかったのですが、こういうことですね。

真が智恵子に届けにきたのは、智恵子が隠し持っていた緋里花のスマホであり、

緋里花の両親が、電話に出てくれることを期待して、二十歳の誕生日に桃花のスマホからかけた、ということです。

この着信を見て、隈島は、智恵子と緋里花との関係を調べ、時間の真相に辿り着くことになるでしょう。


まとめ

最終章で、全ての章のつながりと、事件の真相とが、明らかにされます。

初めて読んだ時に理解できなかったことも、読み返してみると理解できることが増え、自分なりにけっこう謎解きできたんじゃないか、と思っています。

前作よりは、分かりやすい設計になっていると感じました。

ただ、「前作の物語がなければ今回の物語も生まれなかったことを裏付ける、ある仕掛けが施されています。」と出版社の方が紹介していますが、それはどういうことなんでしょうか…。

前作に登場した隈島刑事の弟が、今作の隈島刑事だ、ということくらいしか、私には分からなかったのですが、前作の事件と何かもっと関わっている点があったのかな…。

分かる方、教えてくださーい!

滝に何か祈った登場人物が何人もいますが、願いが叶った人、叶わなかった人、明暗が分かれた結果になりましたね。

緋里花と桃花の両親が一番気の毒だな…とどうしても思わずにいられません。


著者紹介

 

1975年、東京都出身。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、作家としてデビュー。2007年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、2009年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞を受賞。2010年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞する。2011年『月と蟹』で直木賞を受賞。『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫版)はミリオンセラーに。独特の世界観で小説表現の可能性を追求し、ジャンルを超越した作品を次々に発表している。近著に『貘の檻』『満月の泥枕』『風神の手』『スケルトン・キー』『いけない』『カエルの小指』などの作品がある。

出版社より引用


最後に

道尾さんの頭の中ってどうなってるんだろう…って、

彼の本を読むたびに思うんですが、

まだまだ斬新なミステリーで、私たちを楽しませてもらいたいですね!

「いけない」シリーズは、どこまで続くんでしょうか。

少なくとも「いけないⅢ」は読みたいですね〜。

道尾秀介さん、期待しています!

最後に、考察等、間違いがありましたら、すみません…。

もしよろしければ、前作の「いけない」も読んでみてください!


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