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「最後の祈り」薬丸岳【感想】

ミステリー
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むし子
むし子

薬丸岳さんの新刊
最後の祈り」について詳しくまとめます!

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この本を読んだきっかけ

大好きな作家さんなので、新刊は買うと決めています!

前作の「罪の境界」のサイン本がけっこう出回ってて、あー欲しかったーと後悔していたので、今回はサイン本狙いで、無事ゲットしました!!

人生初のサイン本なんですよ~嬉しい!!

こんな人にオススメ

・社会派ミステリーが好きな人

・人間ドラマに焦点を当てたミステリーが好きな人

・「教誨」「教誨師」について知りたい人

・薬丸岳さんのファンの人

「最後の祈り」あらすじ

殺人犯と、娘を殺された父。 死刑執行を前に、 命懸けの対話が始まる。

娘を殺した男がすぐ目の前にいる。贖罪や反省の思いなど微塵も窺えないふてぶてしい態度で。

東京に住む保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。動機なき殺人の闇に迫る、重厚な人間ドラマの書き手・薬丸岳の新たな到達点。

出版社より引用

著者・編集者のコメント

むし子
むし子

著者 薬丸岳さんのコメントはこちら!

「死刑になりたいから人を殺した」
「誰でもいいから人を殺したかった」
世間で無敵の人と呼ばれる凶悪犯には心がないのか。いや、そんなはずはないという祈りを込めました。
ぼくの作品の中で最も重く苦しい物語です。どうか覚悟してお読みください。

楽天ブックスより引用
むし子
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担当編集者のコメントはこちら!

「罪を憎んで人を憎まず」と言いますが、実際に愛する人を殺されたら、そうすることはできるのでしょうか? この究極の問いを突き付けられるのは、牧師であり、無償で受刑者の精神的救済もしてきた主人公・宗佑です。品行方正に生きてきたのではなく、過去に犯した罪の罪悪感に苦しんできた宗佑。自分が救われたように、人々を救いたいという強い気持ちを持って真摯に仕事に取り組んできた彼が、何よりも大事にしてきた娘を惨殺されたらーー。復讐という動機で犯人に接する宗佑に湧きおこる、まさかの感情。犯人と、彼をこの世で一番憎んでいる宗佑との対話。重いテーマではありますが、読む人の心を揺さぶる傑作です。ぜひご一読ください。

楽天ブックスより引用

この本で描かれていること

「教誨師」「刑務官」の仕事の過酷さ

「刑務官」という職業は知っている方が多いかと思いますが、「教誨師」という仕事については、この作品を読んで初めて聞いた方もいるかもしれません。

「教誨」とは 、受刑者等が改善更生し、社会に復帰することを支援する仕事です。

「教誨師」とは教誨を行う者のことで、 無報酬で、多くの場合、僧侶や牧師など宗教家が、その役割を担います。

受刑者が死刑囚の場合、教誨師は、拘置所で死刑囚と面談できる唯一の民間人となります。

この作品は、教誨師の保阪宗佑と刑務官の小泉直也が語り手となる部分が多いので、彼らの心情が細かく描かれているのですが、その仕事の大変さや過酷さがひしひしと伝わってきます。

精神面ですごく大変な仕事だと思います。

ちなみに、柚月裕子さんの「教誨」という作品の記事でも紹介しましたが、私が教誨師のことを知るきっかけになった本があります。

実際の教誨師の方への取材をもとにしたノンフィクション作品ですが、半世紀にわたり、教誨師として生きた一人の僧侶の人生を通して、教誨師という仕事について書かれた作品です。

もし、興味があれば、読んでみて下さい。

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この作品に出てくる教誨師さんもそうなのですが、アル中になってしまったりと、普通の精神状態ではいられないほどの仕事であることがわかります。

 

贖罪の在り方

ここ最近の薬丸さんの作品は「贖罪」をテーマにしたものが多いと感じています。

前作の「罪の境界」や、昨年夏に文庫化された「告解」も、贖罪がテーマの一つになっていましたが、今作も贖罪の在り方がテーマの一つであるかな、と思いました。

この作品に出てくる犯人は、罪の意識を全く持っていないのですが、教誨師の保阪と対話することによって、意識が変わり、罪の意識を感じるようになるのでしょうか。

また、詳しくは書けませんが、教誨師の保阪もある過去の過ちに対して罪の意識を持っています。

彼もまた、自分の罪とどう向き合うか悩んでいるのです。

感想(ネタバレなし)

前作の「罪の境界」が発売されたのが昨年の12月だったので、ずいぶん早く新刊が出るなぁ~と喜んでいたのですが、「小説 野生時代」という文芸誌に2020年11月から連載されていた作品のようですね。

さすがに文芸誌の連載まではチェックし切れてなかった…。

最近の薬丸作品は、加害者や被害者に視点を当てて、その人物たちの心情を丁寧に描いた人間ドラマが多いですね。

なので、最近の作品は少し似ている感じもしますが、重いテーマを扱っているにも関わらず、スラスラ読めてしまうのが薬丸作品です。

薬丸さんファンなので、いつも贔屓目の評価になってしまっているかもしれませんが、今作もまた重厚な人間ドラマになっていて、私は好きですねー。

読み終わって、涙が出ました。

教誨師の保阪は、自分の娘を殺した加害者の石原に復讐しようと決意し、彼の教誨をするのですが、その中でかなり葛藤することになります。

全く関係のない人物の教誨をするだけでも、普通の精神状態ではいられないほどなのに、自分の娘を殺した人物と向き合うわけですからね…。

読んでいても、苦しくなる場面がすごく多かったです。

物語が進む中で、石原の育った境遇や生い立ちが徐々にわかってくるんですが、薬丸さんの作品を読むと、加害者にもいろんな事情があって、つい同情して許してしまいたくなるんですよね。

実際に自分が被害者側の立場になったら、絶対に同情なんてしないし、絶対に許せないとは思うんだけど…。

教誨を通して、石原がだんだん保阪に信頼を寄せるようになっていくのですが、保阪もそれを感じているので、なおさら葛藤することになるんですが、そこがまた読んでいて辛かったです。

刑務官の小泉の視点から語られる部分も多かったのですが、死刑に立ち会うことの精神的苦痛は、本当に想像できないものであると思いました。

自分が人を殺してしまったという罪悪感をずっと持つことになると言います。

いくら仕事とはいえ、平気で人を殺せるわけはないですよね。

教誨師も刑務官もよほど精神力が強い人でないと、かなり難しい仕事なのではないでしょうか…。

 

薬丸さんはこの作品を「ぼくの作品の中で最も重く苦しい物語」だと言っていますが、確かに終始重苦しい場面が続き、明るさを感じる場面はほぼ無いかもしれません。

登場人物がみんな重たいものを抱えている人ばかりですしね。

薬丸作品は基本的に重いので、この作品が最も重く苦しいかと言われるとわかりませんが…。

刑務所や拘置所が舞台なので、閉塞感みたいなものもあり、なおさら重苦しく感じるのかもしれません。

薬丸作品に慣れている人は大丈夫だとは思いますが、初めて読む人やあまり読んだことがない人は、覚悟して読んだ方がいいかもしれません…。

薬丸さんのこういった作品はもちろん好きなのですが、犯人は誰?この話どう展開するのー?みたいなハラハラするようなミステリーも、また書いてほしいなぁとも思います。

 

最近の作品について書いた記事もよろしければご覧ください。

著者紹介

1969年兵庫県明石市生まれ。駒澤大学高等学校卒業。2005年、『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。連続ドラマ化された刑事・夏目信人シリーズ、『友罪』『ガーディアン』『告解』など多数の作品を意欲的に発表している。


出版社より引用

感想(ネタバレあり)

ここからはネタバレありの感想を書いていきますので、まだ読んでいない方は注意してください!!

 
 

保阪の過去の過ちがまたけっこうな過ちでしたね…。

それは一生かけて償わないといけないと感じるのも無理ないですね。

真里亜が、石原の教誨をすることによって復讐できないかと、保阪に持ちかけるわけですが、それはちょっと強引じゃないかとは思いました。

自分が復讐する方法がないからといって、教誨師という仕事の辛さを知っていたら、なかなか頼めることではないんじゃないかな…と。

でもその復讐計画がないと、物語が成り立たないか…。

裁判で死刑が確定しても何もすっきりしない、というのは当然あるとは思いますが、死刑になるその瞬間まで復讐したいと思うものなのか、私には想像できません。

保阪は石原の教誨をするにつれて、石原のことを許したいと思うようになったり、やっぱり許せるわけないと思ったり、心境が揺れまくったと思います。

石原の死刑執行がもう少し後だったら、もっと他の心情が芽生えていたのかな。

石原にもっと反省する態度が見えてきていたら、どうだったのかな…。

最後、石原なりの贖罪の形がわかって、なんだかやるせなかったですね。

死刑執行の場面から最後は、読むのが本当に辛かったです。

読み終わって涙が出ましたが、何の涙かと言われると説明が難しいです。

何ともやるせないというか悔しいというか。

石原の生い立ちのせいでこんな事件が起こってしまったのだとしたら、彼にもし違う人生があったら、こんな事件は起こらなかったのかな、と思ってしまいますよね。

保阪も、教誨を通して、石原に「死にたくない」と思わせることができたのは少しでも復讐ができた、と捉えているようですが、きっと今後も一生どこかすっきりしない思いを抱えて生きていくのではないでしょうか。

保阪は、優里亜のことも由亜のことも、石原のことも、どれもすっきりしないままですよね。辛すぎますね…。

読者視点では、最後に保阪が石原に「わたしが許した…」と言ったのを聞いて、何となく救われた気にはなりましたが、これからの保阪の人生を思うと、なんとも救いがないというか…。

 

この作品について書評家さんが、「なぜ裁判でも証言しなかった由亜の最期の言葉を、石原は宗佑に伝えたのか? その真相は作中で直接的には記されていないのだが、おそらくこうであろうと行間から感じ取ることになった瞬間、戦慄した。」と書いているのですが、皆さん行間から読み取れましたか?

私は、ただ単純に、石原が姉の遥と接したことによって、由亜の最期の言葉を誰かに伝えないといけないと感じたからかな?と思ったのですが、もっと他に理由があるのでしょうか?

石原が、由亜の父親が保阪であると知っていた、とかでしょうか?

私はそれは知らないんじゃないかと思ったんですけど、どうなんでしょうか?

誰かどういうことかわかったら、教えてくださーい!

まとめ

薬丸岳さんの最新刊「最後の祈り」についてまとめました。

薬丸さんらしく重くて苦しい物語でしたが、登場人物の心情が細かく描かれていて、素晴らしい作品だと思います。

ぜひ、読んでみてください!!

むし子
むし子

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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むし子

大阪府在住 
アラフォー2児の母 
今年から突如読書に目覚め、
只今絶賛読書期間中。
読書もブログも初心者ですが、読書の楽しさをみなさんに
お伝えできればと思います。
ミステリーとヒューマンドラマ小説が好きです。

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