10/8からドラマが始まる
知念実希人さんの「祈りのカルテ」の原作について
まとめていきます!!


この本を読んだきっかけ

今年の始めくらいに一度読んだのですが、続編を読むに当たり、再読しようと思いました。

また、ドラマ化されるとのことで、原作を読んでおきたいと思いました。

こんな人にオススメ

  • 医療系のミステリーが好きな人
  • 知念実希人さんのファンの人
  • 医師を目指してる人&研修医の人
  • ミステリーも好きだけど、感動する話も好きな人

あらすじ

出版社によるあらすじ紹介


諏訪野良太(すわのりょうた)は、純正会医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修で、内科、外科、小児科など、様々な科を回っている。
ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷(やけど)で刻まれていた。
離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているというが、諏訪野は女性の態度と行動に違和感を覚える。
彼女はなぜか、毎月5日に退院できるよう入院していたのだ――(「彼女が瞳を閉じる理由」)。

初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人や、循環器内科に入院した我が儘な女優など、驚くほど個性に満ちた5人の患者たちの謎を、新米医師、諏訪野良太はどう解き明かすのか。

「彼」は、人の心を聴ける医師。心震える連作医療ミステリ!


出版社より引用



むし子
むし子

あらすじをもっと詳しく見ていきましょう!!

あらすじを詳しく紹介!

彼女が瞳を閉じる理由

・患者名:山野瑠香やまのるか(26歳、女性)

・入院診療科:精神科 (諏訪野の指導医:立石聡美)

・入院理由:睡眠薬を多量に飲み救急搬送された

1〜2ヶ月に1回、短いと3週間に1回ペースで過去に20回以上、入退院を繰り返しており、

常連の救急患者さんとなっている。

タバコを押し当てたような火傷で、左腕に「あ き ら」と書いてある。

あきらとは、離婚した元夫の名前。

離婚後、自傷行為を繰り返し、睡眠薬を多量に服用し、自分で救急車を呼ぶことを繰り返すようになった。

1年目の研修医である諏訪野良太は、彼女がなぜ何度も入退院を繰り返しているのか疑問に思う。


悪性の境界線

・患者名:近藤玄三こんどうげんぞう(79歳、男性) 娘の幸子が付き添っている

・入院診療科:外科 (諏訪野の指導医:冴木真也 諏訪野の親友である冴木裕也の父)

・入院理由:早期胃がんの治療を行うため

胃がんが早期発見だったため、内視鏡的粘膜切除術という方法だけで完治するだろうとのことで、

始めは玄三も納得していたし、安心しているようだった。

ところが、玄三がスーツ姿の男性と何か話をした後に、態度が急変し、

手術は拒否すると言い出す。

なんとか説得するも今度は、内視鏡治療ではなく、開腹手術を来週中にやれ、

もし無理なら他の病院に行く、と言い出す。

諏訪野の指導医である冴木は、スーツ姿の男性が悪徳業者なのではないかと疑い、

諏訪野もその男性が何か鍵を握っていると考える。


冷めない傷痕

・患者名:守屋春香もりやはるか(女性) 5歳の娘、花南かなんがいる

・入院診療科:皮膚科 (諏訪野の指導医:桃井佐恵子)

・入院理由:右下腿の裏側に重い火傷を負ったため救急搬送された

揚げ物をしている最中に油をこぼして大火傷を負った、と春香は言っているが、

諏訪野はそれが嘘ではないかと疑う。

料理中に油がかかるなら、体の前面に太腿より上にかかるはずであるということ、

また春香が履いていたロングスカートには油がかかっていなかったことなどから、

諏訪野は嘘ではないかと思ったのだ。

また、処置中に、火傷の端に汚れのようなシミを見つけていたのも気になっていた。

そしてしばらくして、なぜか火傷がさらに広がっているのを見つける。


シンデレラの吐息

・患者名:姫井姫子ひめいひめこ(8歳、女児)

・入院診療科:小児科 (諏訪野の指導医 志村)

・入院理由:喘息発作による呼吸困難で救急搬送された

3歳頃に喘息になり、何度か入院したことがあったが、小学生になってからはあまり発作を起こさなくなっていた。

が、1年前くらいからまた発作を起こすようになり、1年で3回も入院している。

救急部で行なった血液検査の結果を見ると、服薬しているはずのテオフィリンの成分が検出されなかった。

諏訪野たちは、姫子の両親のどちらかが自己判断で薬をやめたのかと疑う。

そんな中、またしても姫子が喘息の発作を起こしてしまう。

諏訪野が姫子のベッドの側にあるゴミ箱を見ると、テオフィリンが捨てられているのが見つかる。


胸に嘘を秘めて

・患者名:四十住絵理あいずみえり[芸名:愛原絵理あいはらえり](27歳、女性)

・入院診療科:循環器内科 (諏訪野の指導医 上林)

・入院理由:特発性の拡張型心筋症

アイドルで女優の絵理は、病院のVIPルームに入院している。

彼女の病気を治すには、心臓移植をするしか方法がない。

そのため、アメリカで移植手術を受ける予定があると言う。

諏訪野が研修医として担当になってまもなく、

絵理が重病で都内病院に入院か⁈というニュースが出回ってしまう。

絵理の事務所の社長は、情報が出回ったのを利用して、

心臓移植にかかる費用のための寄付を募ろうとする。



主人公 諏訪野良太の人物像

・外見:痩せ型の長身 大学6年間柔道部に属していた

・性格:気さくで人懐っこくて気が利く 

・口グセ?:何か頼まれごとをすると「はい喜んで!」と居酒屋の店員のような返事をする

・生い立ち:物心つく前に父親は病死し、小学生の時に母親が銀行員の男性と再婚した
      義父は悪い人ではなかったが、諏訪野は家の中で常に息苦しさを感じていた
      義父に嫌われないために、常に彼の顔色を窺っていたことから、
      他人の感情に敏感になってしまった、と自己分析している

諏訪野は持ち前の性格を生かして、どの科でも上手く立ち回り、指導医たちからも気に入られる。

ただ、人の顔色を窺い過ぎたり、空気を読み過ぎる所があるので、

それが医者としては欠点にもなると、精神科医の立石から言われる。

素早い診断が求められる科よりも、

一人の患者さんに力を入れて診療に当たることのできる内科が向いてるのではないか、

と他の指導医たちからも言われる。

どの診療科に入局するか最後の最後まで悩んでいる諏訪野は、

果たしてどの科に入局することにしたのか?

ご自身で読んで確かめて下さい!


この本のテーマや特徴

研修医の日常がわかる!

医学部を卒業した人は、研修医として2年間の初期臨床研修を受けます。

諏訪野のように、内科や外科、精神科、皮膚科など、さまざまな科を回ります。

その2年が終わると、ようやく勤務医として働くことができますが、

多くの医師がその後さらに3年ほど後期臨床研修として、

進みたい診療科で専門的な知識を身に付けるようですね。

著者の知念さんは実際に医師なので、この本は実体験に基づいて書かれていると推測します。

医師を目指している人や、研修医の人は、この本を読んで参考になったり共感する所がたくさんあるのではないでしょうか。

診療科の特徴、仕事内容がわかる!

諏訪野が回った科にそれぞれの特色があることも興味深かったです。

例えば、皮膚科は拘束時間が短く、産休や育休も取りやすく、女性が働きやすい環境だそうです。

ただ、重度の火傷の患者さんが入院すると、

軟膏を塗って包帯を巻き直して…という処置を1日に何度もするので、かなり大変そうでした。

小児科は他の科に比べて夜に患者さんが多く来るので、当直がダントツ忙しいみたいですね。

ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても面白い!

この本は、殺人が起こったり、凶悪犯が出てくるようなミステリーではありません。

患者さんにまつわる謎を諏訪野が解き明かしていく、というミステリーです。

諏訪野は探偵並みに大活躍するわけですが…。

その謎というのが、その患者さんと周りの人の生活や人生と関わっているので、

ヒューマンドラマとも言えると思います。

ミステリーも好きだけど、じーんと来る本も好きだという人に、ぜひオススメです!

心に残ったフレーズ

「いいか、俺たちは患者になにかを強制することはできないんだ。(中略)

こっちが示したすべての情報を理解したうえで患者が選択したことに、医者が口を出すことなんでできないんだよ。

俺たちはそんなに偉くない。」

P68 外科 冴木真也の言葉

世の中には、偉そうな医師が多いイメージですが、

俺たちはそんなに偉くない、と言える冴木先生、カッコいいなぁ、と思いました。


「小児科の仕事の半分は、親への説明みたいなところがあるからね。」

p198 小児科 志村の言葉

私も子供が2人いるので、何度となく小児科にはお世話になっていますが、

親である私の顔を見ながら、きちんと丁寧な説明をして下さる医師には安心感を覚えます。

ろくに説明もせずに薬だけ出して、はいおしまい、みたいな医師もいますが、

そういう医師の所にはまた行こうと思えません。

この志村先生のように、きちんと親へ説明しようとしてくれる医師がいいですよね。

感想

5つの物語、どれも面白かったです。

諏訪野先生、探偵でもないのに活躍し過ぎ!とツッコミを入れたくなるほどの、大活躍でした。

いくら人の懐に入るのが得意だからって、すご過ぎですよ(笑)

でも、こんなお医者さん、実際にいたらぜひ担当してほしいな、と思いました。

担当になったら、多くの人が心を開いてしまいそうな素敵な医師です。

今後の活躍も見たいので、「祈りのカルテ」シリーズをぜひ展開してほしいですね。


最終章で、臓器移植の話が出てきましたが、日本では臓器移植の件数がかなり少ないんですよね。

日本人の臓器移植への理解がなかなか深まっていないのと、

医療機関などで選択肢の提示がなかなか行われないのが原因だそうです。

また、コロナ禍でさらに臓器提供数が減っているそうです。

少し考えさせられました。

この最終章ですが、読み終わって号泣してしまいました。

ぜひドラマでもやってほしいです!(たぶんドラマも号泣)


著者紹介

1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。内科医。2004年から医師として勤務。11年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、12年、『誰がための刃 レゾンデートル』(のちに『レゾンデートル』と改題し文庫化)で作家デビュー。15年、『仮面病棟』が啓文堂書店文庫大賞を受賞。18年より『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi』『硝子の塔の殺人』で本屋大賞にノミネート。他の主なシリーズ・作品に「天久鷹央」シリーズ、「神酒クリニック」シリーズ、『傷痕のメッセージ』『真夜中のマリオネット』など。


出版社より引用


今、ノリに乗ってる作家さんの一人ですよね。

医師の仕事を続けながら、積極的に執筆活動もされているようです。

「祈りのカルテ」以外も読もうと思うのですが、かなりの作品数があるので、

どれから手を付けていいのか悩みます…。

まだ「ひとつむぎの手」しか読んでいません…。

オススメがありましたら、教えて下さい!


まとめ

10/8に始まるドラマ『祈りのカルテ〜研修医の謎解き診察記録〜』の原作について書きました。

Kis-My-Ft2の玉森裕太さんが諏訪野先生役とのことで、

どんな風に演じてくれるのか、とても楽しみです!

玉森さんのドラマ、以前にもいくつか見てなかなか良かったので、期待しています!

原作を読んでいない方、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!