青山美智子さんの
月の立つ林で」について詳しくまとめます!


この本を読んだきっかけ

青山美智子さんの作品をいくつか読んできて、どれもすごく好きな作品ばかりなので、こちらは購入することにしました!


こんな人にオススメ

  • 心温まるヒューマンドラマが好きな人
  • 前向きな気持ちになりたい人
  • 月や月にまつわる話が好きな人
  • 連作短編集が好きな人
  • 青山美智子さんのファンの人

「月の立つ林で」あらすじ


似ているようでまったく違う、
新しい一日を懸命に生きるあなたへ。

最後に仕掛けられた驚きの事実と
読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、
『木曜日にはココアを』『お探し物は図書室まで』
『赤と青とエスキース』の青山美智子、最高傑作。

長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。

つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの思いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。

出版社より引用

この本の特徴やテーマ

ポッドキャスト『ツキない話』を聴いてる人々の話

あらすじに書かれているように、この物語では性別も年齢も異なる5人が主人公となっています。

その5人に共通しているのは、「ツキない話」というポッドキャストを聴いているという点です。

そのポッドキャストはタケトリ・オキナという、顔も年齢も職業も明かされていない男性が配信しており、

毎朝7時に10分間「月」についての豆知識や想いを語り続けるという内容のものです。

主人公の5人はそれぞれの想いを持って、「ツキない話」を聴いています。

「月」に関する知識が深い!

タケトリ・オキナがポッドキャストで語ってくれる「月」に関する知識は、一般的に知られているようなものもありますが、へぇーそうなんだ!と思うような深い知識もありました。

二章の名前が「レゴリス」なのですが、この言葉、初めて知りました。

月はレゴリスという細かい砂に一面覆われていて、それによって月は地球から見ても縁まで明るく見えるのだそうです。

その他にもたくさん月にまつわる話を知ることができて、これから月を見る時はもっとじっくり眺めたいな、って思いました。

また、タケトリ・オキナは、「新月」にとりわけ思い入れがあるのかな、という印象がありました。

登場人物の「繋がり」

青山美智子さんの連作短編集の特徴として、各章の登場人物がゆるく繋がっている、というものがあるのですが、この作品にもその特徴が当てはまります。

その繋がりを予想しながら読むという楽しみ方もありますよね。

一章から五章までの登場人物がどう繋がっているのか、また「最後に仕掛けられた驚きの事実」とは何なのかーー。

ぜひ読んで確かめてみて下さい。

心に残ったフレーズ

青山美智子さんの作品は、心に残るフレーズが本当に多いです。


特に印象的だったフレーズを紹介します!

「悩んでるときって、自分を見失ったりするじゃない。私がいるよっていうのは、あなたがいるよって伝えるのと同じことだと思うの。彼女を想ってる私の存在が、彼女の存在の証しになるんじゃないかなって」

p52 樋口さんの言葉

自分を見失ってしまう時って、自暴自棄になって、もう一人にしてよ!みたいな気持ちになってしまうこともありますが、誰か親しい人がそばにいてくれたら、それは絶対嬉しいし、心強いですよね。

そんな人がいたら、幸せですね。


「月って、願いよりも祈りがふさわしいと思うんです。願いは自分でなんとかしようって強く思って行動できるようなことで、だけど祈りは、なすすべのないことにただ静かに想いを込めることなんじゃないかな」

p105 タケトリ・オキナの言葉

「新月に願い事をすると叶いやすい」と太古の昔から信じられぬていることについて、タケトリ・オキナが述べているところです。

願いと祈り、似ているようで似ていないのかもしれません。

願いの方が叶いやすいイメージはありますよね。


「あたりまえのように与えられ続けている優しさや愛情は、よっぽど気をつけてないと無味無臭だと思うようになってしまうものなのよ。(中略)それは本当の孤独よりもずっと寂しいことかもしれない」

p238 リリカさんの言葉

すぐ近くにある幸せを見逃したらダメ、ということですよね。

いつも一緒にいる人や親しい人の存在はつい当たり前のように感じてしまうけど、その当たり前を大切にしないといけませんね。


感想

「月」をテーマにして、こんな素敵な物語を書ける青山美智子さん、本当にすごいなぁと思いました。

月からこんなに世界が広がる話が書けるのがすごい。

皆既日食とか皆既月食のようなめったにないイベントにはさすがに注目するし、普段何気なく月を見ることはあるけど、そんなに月についていろいろ考えたこともなかったので、勉強にもなりました。

大昔の人にとっては月ってすごいエンタメだったんだろうな」というセリフが出てきたのですが、ほんとそうですよね。

奈良時代や平安時代の昔の俳句や和歌などにも「月」を詠んだものって、けっこうありますよね。

毎日姿が変わる月を見て、きっと不思議に思っていたんだろうな。

電気などがなかった時代には、今よりももっと明るく見えていたのでしょうね。


 

物語の内容はというと、またまた安定の青山美智子さんですよね(笑)

青山美智子さんの作品にハズレなし」といった声も耳にしますが、ほんとそれ、です。

登場人物が緩く繋がっていって、最後にちょっとした仕掛けがわかる、というのが青山さんお得意の展開ですが、読者はその展開の仕方を期待して読んでいるところがあると思います。

またその展開か…と思ったり、そんな上手いこと世の中繋がってるわけないよ…と思う方も中にはいるかもしれませんが…。

私はこの展開が大好きなので、今後も青山美智子さんの作品はずっと読んでいきたいです。

この作品も一章に出てきた人が二章に出てきて、という風に進んでいくのですが、その繋がりを楽しみつつ、最後に仕掛けられた事実をぜひ知っていただきたいと思います。

 


どの章も感動したし、多くの登場人物に共感もしましたが、特に好きなのは三章と四章です。

親と子の物語には弱いですね〜。

特に三章の素直になれないお父さん、こんなお父さん、世の中にたくさんいそうだなぁ、って(笑)

お父さんだけじゃなくて、お母さんでも子供でも、こういう素直になれない感じはありますよね。

親子でもやっぱり口に出して想いは伝えた方がいいな、と改めて思いました。


この物語もそうですが、青山美智子さんの作品を読むと、みんないろんな悩みや苦労があって、みんな自分なりに頑張って生きてるんだなぁ、と感じます。

登場人物、ほとんどの人に不思議と共感できるんですよね。

みんな誰かに支えられていて、もしかしたら自分も知らない誰かのことを支えているかもしれない、そんな人と人との繋がりが青山美智子さんの作品のテーマなのかな、と思います。


最後に、タイトルにもなっている「月が立つ」という表現、すごく素敵だなと思いました。

「ついたち」の語源にもなっている表現ですが、この言葉の響きと、装丁の美しさ、物語の素晴らしさ全て、大満足の作品で、購入して大正解でした!

ぜひ、皆さんも青山ワールドに触れてみて下さい。


著者紹介

1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。続編『月曜日の抹茶カフェ』が第1回けんご大賞、『猫のお告げは樹の下で』が第13回天竜文学賞を受賞。(いずれも宝島社)『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)が2021年本屋大賞2位。『赤と青とエスキース』(PHP研究所)が2022年本屋大賞2位。他の著書に『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』(ともに宝島社)、『マイ・プレゼント』(U-kuとの共著・PHP研究所)など。


出版社より引用



まとめ

青山美智子さんの「月が立つ林で」についてまとめました。

いつも心温まる物語を届けてくれる青山さん、今後の作品もずっと追いかけていきたいです。

皆さんもぜひ読んでみて下さいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!