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「いけないⅡ」道尾秀介【感想・考察】

ミステリー
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むし子
むし子

前作の「いけない」が話題となった
道尾秀介さんの「いけないⅡ」を
ネタバレありで紹介します!

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この本を読んだきっかけ

今年、読書にハマってから、道尾秀介さんの本を7冊くらい読みました。

その中に「いけない」があって、なかなか他にはない仕掛けの本で、

楽しい読書体験になったので、続編も読みたいと思いました。

普段は図書館を利用していますが、この本はあまりに気になって購入しました!

こんな人にオススメ

    • 前作の「いけない」が好きな人

    • 道尾秀介さんのファンの人

    • 推理したり、謎解きするのが好きな人

    • 不気味な感じのミステリー・ホラーが好きな人

    • 楽しい読書体験がしたい人

「いけないⅡ」あらすじ

大きな話題を読んだ”体験型ミステリー”第2弾。
第一章「明神の滝に祈ってはいけない」
桃花はひとり明神の滝に向かっていた。一年前に忽然と姿を消した姉・緋里花のSNS裏アカウントを、昨晩見つけたためだ。失踪する直前の投稿を見た桃花には、あの日、大切にしていた「てりべあ先生」を連れて姉が明神の滝に願い事をしに行ったとしか思えない。手がかりを求めて向かった観瀑台で桃花が出合ったのは、滝の伝説を知る人物だった。

第二章「首なし男を助けてはいけない」
夏祭りの日、少年は二人の仲間を連れて大好きな伯父さんを訪ねる。今夜、親たちに内緒で行う肝試し、その言い出しっぺであるタニユウに「どっきり」を仕掛けるため、伯父さんに協力してもらうのだ。伯父さんは三十年近くも自室にひきこもって、奇妙な「首吊り人形」を作っている。その人形を借りて、タニユウの作り話に出てきたバケモノを出現させようというのだ。

第三章「その映像を調べてはいけない」
「昨夜……息子を殺しまして」。年老いた容疑者の自白によれば、息子の暴力に耐えかねて相手を刺し殺し、遺体を橋の上から川に流したという。だが、その遺体がどこにも見つからない。必死で捜索をつづける隈島刑事は、やがてある「決定的な映像」へとたどり着く。彼は先輩刑事とともに映像を分析しはじめ——しかし、それが刑事たちの運命を大きく変えていく。

そして、書き下ろしの終章「祈りの声を繋いではいけない」
――すべての謎がつながっていく。前作を凌ぐ、驚愕のラストが待つ!
各話の最終ページにしかけられたトリックも、いよいよ鮮やかです。

出版社より引用

出版社の担当編集者さんによる紹介

『いけないⅡ』は、文庫化されたばかりの前作『いけない』と同コンセプトで書かれた、まったく新たな物語です。
各章の最終ページに配された写真を見た瞬間に、物語が別の様相を呈するという“体験型ミステリー”スタイルを踏襲しつつ、今作では前作以上に章末の写真に意味を持たせたかった、と著者の道尾秀介さんは語ります。その言葉通り、今作に挿入された写真は、どれも見た瞬間に強烈な違和感を抱かせるものばかり。読者の想像と推理を掻き立てるための、より強力なトリガーになるでしょう。この写真、道尾さんが思い描いたイメージに近付けるため、道尾さん、カメラマン、編集者とで(時に被写体も兼ねながら)長い撮影時間をかけて入念に作り上げたものです。ご期待ください。
さて、『いけないⅡ』は『いけない』とはまったく別の物語ですが、前作の物語がなければ今回の物語も生まれなかったことを裏付ける、ある仕掛けが施されています。『いけない』をお読みになった方には、そこも楽しんでいただけると思います。

出版社より引用

感想

ネタバレを読みたくない人のために、先に感想を書きますね!

いやぁー、またまた面白かったですよ!!

前作の方が良かった!という声もチラホラ?聞こえてきたりしますが、

私は、今作の方が好きかな。

今作の方が、話がスッキリまとまってて、全体的に読みやすく感じました。

謎解きに関しても、第1章で、わからーん!!と思ったことの正解が、

次の第2章で書かれてたりするので、モヤモヤを引きずらずに済むのが、個人的には良かったです。

前作よりも少し親切設計になった印象でした。

モヤモヤを引きずりたいタイプの人は、少し物足りなく感じるかもしれません(笑)

前作に劣らず、不気味で不穏な雰囲気は相変わらずあって、

こういうミステリーを書かせたら、道尾さんって最高に上手いなぁと、しみじみ感じました。

何度か背筋がゾワゾワっとしましたよ。

本のカバーも怖いですし(笑)

それと、登場する地名がまた不気味ですよね。

よくこんなに色々な地名を思い浮かぶなぁ、と思います。

前作を読んで楽しめた人には、自信を持って、今作もオススメします!

ネタバレありのあらすじ&考察!!(見たくない人は見ないでね)

この本に関しては、考察が盛り上がると思うので(すでに盛り上がってる?)、

あらすじを紹介しながら、ネタバレありで、考察してみたいと思います。

第一章「明神の滝に祈ってはいけない」

○最初の写真…胸の前で両手を組んで祈っている女子高生の写真。

第1章にだけ、最後だけでなく、最初にも写真が載っています。

その最初の写真は、初めて見た時には何の違和感も感じません。

読み進めていくと、姉の緋里花が行方不明になっており、

避難小屋の管理人である大槻が殺したのか?と思わせる記述が多々あり、

最初の写真も緋里花の写真なのかな?と思って、読み進めます。

たぶん、ほとんどの読者も、そう思って読んでいくと思います。

そして第1章の最後で、桃花は大槻が小屋から離れた隙に、小屋の冷凍庫を調べようとします。

そしてその中に、女性の遺体があることを発見します。

ところが、大槻が戻ってきてしまい、桃花は慌てて冷凍庫の中に隠れます。

冷凍庫の扉が閉まってしまわないように、右手の中指を挟み込みますが、

大槻が扉を思いっきり閉めたため、爪がはがれてしまいます。

なんとか冷凍庫からは逃げ出しますが、観瀑台で大槻と向き合うことになり、

「何をしてるの?」と言われ、「姉が見つかるように祈っています」と、

手を組んで祈っているところの写真を撮られます。

大槻は、その写真を見れば、冷凍庫に隠れていたのが桃花だと分かると思ったのですが、

「爪がはがれた右手の中指」が写っておらず、首をかしげます。

そして最後、大槻が滝に身投げするところで、物語は終わります。

読者はこの時点で、冷凍庫の中の女性が姉の緋里花で、

桃花はなんとか逃げ切ったのかと思ってしまいますが…、

冷凍庫の遺体は、29年前に行方不明になった大槻の母親の遺体で、

緋里花は行方不明のまま見つかっていない、ということが、最後に明かされます。

○最後の写真…山小屋の入り口の写真。右に雪だるま、左に「干支だるま」がある。 

この最後の写真を見て、あれ?と気付くことがあります。

これまで説明したあらすじは、子年に起きたことだと、読者は思わされています。

ところが、写真に写った「干支だるま」は、ネズミではなく、「牛」なのです。

あれ、いつの間に1年進んでるの?と混乱するんですが、

実際には、大槻目線で描かれていたことは、子年ではなく、丑年の出来事だったのです。

桃花のパートは、子年なので、時系列がズレていることになります。

隈島刑事が捜索しているのは、緋里花ではなく、桃花だったということですね。

・疑問点

大槻はなぜ父親の罪を隠し続けていたのか?

自分がやったことではないのだから、警察に言ったらよかったのでは?と思いました。

自分の父親が殺人犯だ、とは言いたくなかったのでしょうか。

第二章「首なし男を助けてはいけない」

第2章のあらすじは、出版社のあらすじに少し書いてあるので、その続きから説明します。

タニユウを驚かせようとして、真たちは、作った「首なし男」の人形を木に吊るします。

しかし、伯父さんが運転ミスをして、首なし男を吊るした木に、車を激突させてしまいます。

その衝撃で、首なし男が木から外れて、川に流されていってしまいます。

伯父さんの家に戻ってから、真たちはタニユウとの待ち合わせ場所に向かいますが、

待ち合わせ時間を過ぎても、タニユウは現れません。

真は、近くを見て来ると言い、伯父さんが車をぶつけた木の辺りに着きます。

するとなんと、川に流されたはずの首なし男が、同じ場所にぶら下がっているのでした。

真は、伯父さんが轢いてしまったのは、首なし男ではなく、タニユウだったのではないか?と考えます。

真は再び伯父さんの家に行き、伯父さんに「川を流れてったの…人間だったの?」と聞きます。

すると伯父さんは、体を痙攣させながら「ごぉめんなさい」と言いました。

しかし、タニユウは実際には、美容室のマネキンを盗んで、警察に捕まっていただけで、

タニユウもマネキンを使って、真たちを驚かせようと企てていたのでした。

伯父さんがはねたのは、やはり首なし男で、昼間に川に流された首なし男を、伯父さんが夕方までの間に、川から拾い上げて元の木に戻したのでした。

真は伯父さんに誤解したことを謝ろうと、伯父さんの部屋に行きます。

○最後の写真…窓の柵に、少し濡れた伯父さんのつなぎがかかっており、その手前に、人形?が吊るされている

この写真は、全4章のうちで1番理解しやすいと思います。

吊るされているのは、人形ではなく、自殺した伯父さんです。

伯父さんは、中学生の時に、川で自分の父親のことを死なせてしまったことが原因で、それから引きこもりになったのです。

真に「川を流れていったのは人間だったのか」と聞かれて、その時のことだと思ってしまい、罪の意識から自殺してしまったのでした。

第三章「その映像を調べてはいけない」

千木孝憲は、息子の孝史から暴力を受けていたことから、息子を殺してしまい、死体を川に流したと言うが、いくら捜索しても遺体は見つからない。

隈島刑事は千木の自宅を訪ねた時に、物置のシャベルが変に綺麗なことが気になり調べると、

ごく最近水で洗われた形跡があることに気付き、遺体を埋めるのに使ったのではないかと、疑います。

また、千木の家の中でドライブレコーダーを見つけ、それに映った映像を調べることにします。

その結果、千木は森に遺体を捨てに行ったのではないか、ということがわかりますが、それ以上は何の手がかりも得られませんでした。

千木本人に森まで同行させますが、どの辺りを車で走ったか記憶が曖昧で覚えていない、と言います。

隈島はもう一度ドライブレコーダーを良く見ると、森にある木の枝先に咲いている白い花が映っているのを見つけます。

その花について、植物に詳しい教授に聞くと、野生のサザンカであると分かり、森のどこにあるかが分かれば、大きく進展するかと思われたが、

サザンカは森のあちこちに咲いている花でした。

千木夫妻は、息子のことを殺してしまった時のことを回想します。

息子を刺してしまったのは、実は妻の智恵子で、千木は自分が殺したことにしたのでした。

また、ドライブレコーダーの映像についても、森に向かったことが警察にバレるように、わざと仕向けたものなのです。

それでは、息子はどこに埋まっているのか?となりますが、

息子は一番好きだった花の下、一輪きりの花の下、に埋まっているようです。

○最後の写真…1997年益子町コスモス祭りの写真

息子が好きだった花は、コスモスだったのです。

コスモスってどこかに出てきたっけ?と分からなかったのですが、読み返してみると、千木家の居間の座卓にある一輪挿しにコスモスが咲いている、という描写がありました。

つまり、息子の遺体は、千木家の居間の下にある?という疑問を残して、最終章へ突入します。

終章「祈りの声を繋いではいけない」

○緋里花二十歳の誕生日の2日前(5/1)

隈島は、ある報告をするために、緋里花の両親と向き合っています。

その半年ほど前、彼女のスマホから電波が発せられたことが一度だけあり、彼女はまだ生きているのではないか、と思われたのです。

また、緋里花の両親は、桃花からの電話なら緋里花が出るかもしれない、という期待を持って、桃花の番号をそのまま引き継いだスマホを、家に置いています。

しかし、千木孝史の遺体を捜索していた作業の中で、緋里花の遺体と思われるものが、森で見つかったことを、隈島は報告しに来たのでした。

○5/1、別の場面

真と智恵子は、明神の滝で出会う。(面識はない)

真は伯父さんの自殺以来、声が出なくなってしまっています。

滝に身を投げるために来たのですが、智恵子が保険証を落としたのを見つけ、すんでのところで、自殺を思いとどまります。

○緋里花二十歳の誕生日の前日(5/2)

隈島は、森で見つかった遺体について千木智恵子に話を聞きに行きます。

隈島が帰った後、智恵子は息子を居間の床下に埋めた時のことを回想します。

息子の遺体を埋めようと、床下を調べると、緋里花が埋まっていたのでした。

千木夫妻は、緋里花の遺体がいつか掘り出されるように、森に埋めに行ったのでした。

緋里花のリュックサックに入っていたスマホは、孝史と彼女を結びつけるものが入っている可能性を考えて、千木夫妻が持っていました。

ある日隣県に行き、そのスマホの中身を見ていくと、孝史が緋里花と会っていた証拠が残っていました。(前述した、緋里花のスマホから一度電波が発せられた時の話です)

真は保険証を届けに千木家に向かうが、千木家で火事が起きているのを発見し、叫び声を上げて、近隣の人々に助けを求めたのです。

○緋里花二十歳の誕生日(5/3)

隈島は智恵子が入院する病院にお見舞いに行き、そこで真に出くわし、真が智恵子に届け物をしに来たことを聞きます。

○最後の写真…智恵子のベッドの床頭台に置いてあるスマホの写真。着信相手は「桃花」となっている。

最初に読んだ時は意味が分からなかったのですが、こういうことですね。

真が智恵子に届けにきたのは、智恵子が隠し持っていた緋里花のスマホであり、

緋里花の両親が、電話に出てくれることを期待して、二十歳の誕生日に桃花のスマホからかけた、ということです。

この着信を見て、隈島は、智恵子と緋里花との関係を調べ、時間の真相に辿り着くことになるでしょう。

まとめ

最終章で、全ての章のつながりと、事件の真相とが、明らかにされます。

初めて読んだ時に理解できなかったことも、読み返してみると理解できることが増え、自分なりにけっこう謎解きできたんじゃないか、と思っています。

前作よりは、分かりやすい設計になっていると感じました。

ただ、「前作の物語がなければ今回の物語も生まれなかったことを裏付ける、ある仕掛けが施されています。」と出版社の方が紹介していますが、それはどういうことなんでしょうか…。

前作に登場した隈島刑事の弟が、今作の隈島刑事だ、ということくらいしか、私には分からなかったのですが、前作の事件と何かもっと関わっている点があったのかな…。

分かる方、教えてくださーい!

滝に何か祈った登場人物が何人もいますが、願いが叶った人、叶わなかった人、明暗が分かれた結果になりましたね。

緋里花と桃花の両親が一番気の毒だな…とどうしても思わずにいられません。

著者紹介

 

1975年、東京都出身。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、作家としてデビュー。2007年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、2009年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞を受賞。2010年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞する。2011年『月と蟹』で直木賞を受賞。『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫版)はミリオンセラーに。独特の世界観で小説表現の可能性を追求し、ジャンルを超越した作品を次々に発表している。近著に『貘の檻』『満月の泥枕』『風神の手』『スケルトン・キー』『いけない』『カエルの小指』などの作品がある。

出版社より引用


最後に

道尾さんの頭の中ってどうなってるんだろう…って、

彼の本を読むたびに思うんですが、

まだまだ斬新なミステリーで、私たちを楽しませてもらいたいですね!

「いけない」シリーズは、どこまで続くんでしょうか。

少なくとも「いけないⅢ」は読みたいですね〜。

道尾秀介さん、期待しています!

最後に、考察等、間違いがありましたら、すみません…。

もしよろしければ、前作の「いけない」も読んでみてください!

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