
椎野直弥さんの「僕は上手にしゃべれない」について詳しくまとめます!
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この本を読んだきっかけ
Twitterの読書アカウントで、いつもやり取りさせてもらってるフォロワーさんのおすすめ本です。
児童書ですが、以前にも見かけたことがあり気になっていたので、読んでみました。
こんな人におすすめ
・小学校高学年~高校生くらいの人
・吃音について知りたい人
・周りに吃音症の人がいる人
「僕は上手にしゃべれない」あらすじ
吃音の悩みを抱え中学生になった悠太。思い切って入部した放送部にいたのは同じクラスの女子で…。
葛藤と成長の、胸打つ青春物語。小学校の頃から吃音に悩んできた主人公・柏崎悠太は、中学入学式の日、自己紹介のプレッシャーに耐えられず、教室から逃げ出してしまう。
出版社より引用
なんとかしたい思いから、「誰でも上手に声が出せるようになります」という部活勧誘チラシの言葉にひかれ、放送部に入部する。
クラスメイトで同じ新入部員女子や、優しい先輩、姉など周囲の人に助けられ、途中くじけながらも少しずつ変わっていく悠太の、葛藤と成長の物語。
著者の思い

著者の椎野直弥さんは、この作品について、
次のような思いで書かれました!
この話を書くときに、物語として面白いのはもちろん、それ以外にも吃音を知らない人が読んだときに、吃音のことひいては吃音者の思いを理解できるものにしたいなという考えがありました。
吃音に悩んでいる人が、この人にだけは吃音を理解してほしいと思ったとき、説明に費やす多くの言葉の代わりに、この物語がなれたらという思いで書きました。「俺(私)、この本の主人公と同じなんだ」という一言だけで、すべてを伝えられる物語にできたら。
だから必然的に、主人公は吃音者になりました。そして彼の年齢は、僕が一番吃音について思い悩んだ時期である中学生にしました。でもこれは、作者である僕の物語じゃありません。
他の誰でもない、吃音に悩み、立ち向かった一人の少年の本気を、物語にしたつもりです。
この本のテーマ
吃音に悩む少年の成長物語

吃音について知らない人もいるかもしれないので、
少し説明します!
「吃音」とは…
話す時に最初の一音に詰まってしまうなど、言葉が滑らかに出てこない発話障害の1つ。主な症状には3つあります。
- 「ここここ、こんにちは」と言葉のはじめの音を繰り返してしまう「連発(れんぱつ)」
- 「こーーんにちは」と音が伸びてしまう「伸発(しんぱつ)」
- うまく言葉が出ずに間が空いてしまう「難発(なんぱつ)」
幼児期に発症する「発達性吃音」と、疾患や心的ストレスなどによって発症する「獲得性吃音」に分類され、その9割は発達性吃音であるそうです。
日本には吃音症の人が、約120万人(100人に1人)いると言われています。
主人公の柏崎悠太は吃音に悩む中学一年生です。
あらすじ紹介にもあるように、中学入学式の日、自己紹介のプレッシャーに耐えられず、教室から逃げ出してしまうのですが、「上手に声が出せるようになる」という放送部のチラシを見て入部を決意します。
悠太がどのような成長を見せるのか、ぜひぜひ読んでみて下さい!
感想(ネタバレなし)
一応児童書なんですけどね、大人にもすごくおすすめです!
もう涙腺崩壊しましたよ、私。
後半はずっと泣きっぱなしで涙が止まらなくて、泣き疲れて頭が痛くなるほどでした。
吃音のことをよく知らないっていう人たちに、ぜひたくさん読んでほしいな、って本当に思います。
私もよく知っているわけではなかったけど、吃音については知っていましたし、世間的にもみんな知ってるんだろうなって思ってたんですが、吃音への理解はまだまだされていないのでしょうか。
中学の時のクラスメイトにも吃音症の子がいましたけど、誰もからかったりしてなかったし、もちろんいじめもなかったので、中学生くらいになればみんな理解していると思ってたのですが…。
でも、私ももしかしたらそのクラスメイトの子がいたから、吃音について知ったのかもしれないな…なんて思いました。
有名人だと、田中角栄さんとかアメリカ大統領のバイデンさんとかも吃音だって有名ですよね。
私は観ていませんが、「英国王のスピーチ」という映画も、吃音症の英国王の話だったりします。
もっと吃音のことが世の中でも理解されたらいいですよね。
この物語の悠太のように、学校でからかわれたり、いじめにあったりという辛い学校生活を送っている人がたくさんいます。
また、社会でも、就職活動の面接で上手く話せないからという理由で落とされたり、接客業をやってみたいのにあきらめなければならない人も多いようです。
そして、吃音症といっても、話をさえぎらずに最後まで聞いてほしい人、途中で助け舟を出してほしい人、いろんな考え方があるようです。
「ゆっくり話してね」や「落ち着いてね」などと言うことが逆効果になるそうですね…。
そして、吃音症だからといって、話すことが大好きっていう方もたくさんいるんですよね。
この作品を読んで、吃音について調べたり、吃音症の方のインタビューなどを読んだりしましたが、皆さんおっしゃられていることは、吃音についてもっと知ってほしい、吃音の苦しみを知ってほしい、ということだと感じました。
自殺を考えるほど苦しんでいる人が多い、ということは、私も知りませんでした。
著者の椎野さんも言っていますが、子供時代、特に中学生くらいの子にとっては、毎日の学校生活が辛いというのは、本当に悩むだろうな、と思います。
この物語を読んで、もし吃音を持つ人と接することがあったら、どう接したらいいんだろうか、ということについて考えました。
吃音について変に理解してる風にするのは良くないだろうし、かと言って気付かない風にするのもおかしいだろうし、もう普通に接して普通に会話するのが一番いいのかなって、私は思ったんですが、どうでしょうか…。
吃音症ではない人と話す時もそうですけど、相手の話をよく聞くことって、当たり前のようで実はできてなかったりしますよね。
途中でさえぎってしまったり、変なタイミングで相槌を打ってしまったり、とか。
私なんてせっかちなので、「聞く力」みたいなのが足りてないかもしれないんですけど(汗)、そういうせっかちな人とはしゃべりにくいだろうなと思うので、今後気をつけていかなきゃいけないですね。
吃音に限らず、いろんな個性を持った人が認められる時代になってきたと思うので、どんな個性であっても、まずは理解しようとすることが大切なのかなと思います。
そして、この物語でも主人公の悠太が感じていることですが、どんな人でもそれぞれの悩みを抱えていて、自分だけが辛いんだというわけではないことですね。
悠太を支えてくれている周りの人にもそれぞれ悩みがあって、みんなが支え合って思い合っている姿が素敵でした。
そうやって支えて理解してくれる人が周りにいるなら、どんどん甘えて助けてもらったらいいんじゃないかなぁって思いました。
悠太と周りの人たちの間で、いろんな勘違いや誤解があったけど、理解しようとしてくれる人に対してなら、ぶつかってもいいから、本音を言ったり思ったことを正直に言ったりしてもいいんじゃないかな、と思います。
周りに信頼できる人がいなかったら、困難に立ち向かって行く勇気も得られなかったかもしれないし、悠太は理解してくれる家族や友達・先輩に出会って、世界が変わって、本当によかった。
吃音がテーマではあるけど、何か悩みを抱えている子供たちにも、ぜひ読んでほしい作品だと思いました。
吃音がテーマのおすすめ作品
この作品を読む前に、吃音がテーマの物語を読んだことがありました。
たぶん、知っている方も多いかとは思いますが、すごく心に残る作品だったので、紹介させて下さい。
重松清さんの「きよしこ」と「青い鳥」という作品です。
重松清さんの作品は有名なものがたくさんありますが、この2冊は吃音がテーマになっています。
重松さん自身も吃音症であり、吃音がなければ作家にはなっていなかっただろう、とおっしゃっています。
「きよしこ」は自伝的な作品であり、「青い鳥」は吃音症の先生の話ですが、どちらも吃音を抱える人に圧倒的に支持されている作品だと思います。
重松さんは教師になりたかったけど、吃音があるために諦めたそうで、「青い鳥」の主人公である村内先生は、重松さんのヒーロー的存在として書かれたそうです。
「きよしこ」もよかったのですが、「青い鳥」は号泣してすごく記憶に残る作品だったので、今回の椎野さんの作品を読んで、また再読したいなと思いました。
もし読んだことがなければ、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
著者紹介
1984年(昭和59年)、北海道北見市生まれ。
amazonより引用
札幌市の大学を卒業後、仕事のかたわら小説の執筆を続け、第四回ポプラ社小説新人賞に応募。
最終選考に選ばれた応募作「僕は普通にしゃべれない」を改稿した本作でデビュー。
まとめ
椎野直弥さんの「僕は上手にしゃべれない」についてまとめました。
吃音について知っている人も、知らない人も、子供でも大人でも、あらゆる人に読んでほしいと思える作品でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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