今年の話題作、結城真一郎さんの
「#真相をお話しします」についてまとめます!
この本を読んだきっかけ
話題作ということで、よく目にする機会があり、読みたいと思いました。
図書館で予約していましたが、3ヶ月くらい待ちました。
こんな人にオススメ
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- どんでん返しもののミステリーが好きな人
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- ミステリー短編集が好きな人
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- 話題の本を読みたい人
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- 推理しながらミステリーを読みたい人
「#真相をお話しします」あらすじ
出版社によるあらすじ紹介
子供が四人しかいない島で、僕らは「YouTuber」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとたちがよそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)。日本の〈いま〉とミステリが禁断の融合! 緻密で大胆な構成と容赦ない「どんでん返し」の波状攻撃に瞠目せよ。日本推理作家協会賞受賞作を含む、痺れる五篇。
出版社より引用
あらすじを詳しく紹介します!
惨者面談
家庭教師の営業として働いている東大生の片桐は、ある日、矢野悠という小学生の家に営業に行く。
約束の時間より少し早く着いてしまった片桐は、矢野家の前に生ゴミが散らばっているのを見つける。
ドアホンを鳴らしてもなかなか出なかったが、しばらくして母親が出た。
母親は片桐との約束を忘れている様子で、家の中を片付けたいからもう少し待ってて欲しいと言う。
20分以上待たされた後、家に入り話をするが、母親の手にはなぜかゴム手袋がはめてある。
片桐はいつも通り営業トークを飛ばすが、中学受験に興味がある親子のはずなのに、なぜか反応が鈍いようだった。
他にもおかしいことばかりで、片桐は何か怪しいと思う。
その違和感は一体何なのかー。
ヤリモク
「僕」には、大学生の娘がおり、大学生では買えないようなブランド物をたくさん持っていて、マッチングアプリでパパ活のようなことをしているのではないか、と妻から相談されている。
そんな「僕」は、マッチングアプリで女性と会うことをやめられないのだ。
今日は、娘と髪型も背格好もよく似たマナという女性と会っている。
2人はすぐにいい感じになって、僕はマナの家に行くことになった。
僕は、マナの家に入ってから、何か違和感のようなものを感じる。
マナは何者なのか、僕はどうなるのかー。
パンドラ
「僕」と妻は、何年間か子供を授からなかったが、3年ほど経ってようやく娘を授かった。
僕は、不妊で悩んだ経験から、妻の了承のもと、精子提供をすることにした。
それから15年が経ち、僕の精子提供によって生まれたという「娘」が会いたいと言ってきた。
その娘は、はっきりさせたいこと、があると言う。
一体それは何なのかー。
三角奸計
大学生の時の同級生である、桐山、茂木、宇治原の3人は、リモート飲み会を開いている。
桐山には彼女がいるが、その彼女には遠距離恋愛中の婚約者がいるため、不倫のような関係である。
また、宇治原は大阪に転勤になったことで、婚約中の彼女と遠距離恋愛になっているが、どうやら彼女が浮気をしているのではないか、と疑っている。
リモート飲み会の途中で、宇治原は桐山だけに対して、茂木の家に女がいると言い、その女が自分の婚約者であり茂木と浮気している、と言う。
さらに、今から茂木を殺しに行くから止めるな、と言い出す。
宇治原と茂木は、隣同士のマンションに住んでいるので、すぐに行ける距離である。
桐山はなんとか宇治原を止めようとするがー。
#拡散希望
渡辺珠穆朗瑪(チョモランマ)は、両親と匁島(もんめじま)に移住してきた。
島には小学生はチョモランマを含めて4人しかいない。
島に元から住んでいる凜子と、チョモランマと同じく移住してきた砂鉄と口紅(ルージュ)である。
凜子だけはスマホをもっており、人気のYouTuberについて教えてくれたり、一緒にYouTuberにならない?などと言っていた。
ある日、ピンクのモヒカン頭の男がチョモランマたちに接触してくるが、その男が何者かに殺されてしまう。
その日からチョモランマたちに対する島民の態度がなぜかよそよそしくなる。
島民だけでなく、凜子の態度も変わってしまったのだった。
凜子と島民の態度が一変した理由は何なのかー。
この本の特徴
題材が今風!
この本は、Z世代と呼ばれる10代〜20代前半の人にウケてるらしいのですが、それもそのはず、扱われている題材が今時のものばかりなんです。
マッチングアプリやパパ活、リモート飲み会、YouTube、激化する中学受験など、今の若者に親しみのあるものばかりが、テーマとなっています。
アラフォー主婦の私には、あまり馴染みのないものばかりです…。
オチが分かったと思ってからの一捻りがすごい!
少しネタバレ気味になってしまいますが、この本のすごい所は、オチが分かったと思ってから、さらにもう一捻りある所だと思います。
けっこう早い段階でオチが予想できてしまう話もあるんですが、それだけでは終わらないんですよ。
一つの話で、何度かどんでん返しが味わえるので、どんでん返しが好きな人はぜひ読んでみて下さい。
感想(ネタバレなし)
すごく話題になってて、よく見かけることがあったので読んでみましたが、話題になる理由が分かる気がしました。
普段あまり読書をしない人でも、サラッと読みやすく、それでいてびっくりさせられるような話ばかりなので、エンタメ性も高いですよね。
こういう本なら読みたい、と思う人も多そうです。
この本の特徴でも書きましたが、何回かひねりのある話ばかりで、すごいなぁと思いました。
5つの物語、どれも印象に残るものばかりで、面白かったです。
ただ、短編なのでサラッと種明かしされちゃったのが、個人的には少し物足りなく感じたので、著者の長編はどんな感じなのか、興味がわきました。
著者紹介
1991年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。2018年、『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、2019年に同作でデビュー。2020年に『プロジェクト・インソムニア』を刊行。同年、「小説新潮」掲載の短編小説「惨者面談」がアンソロジー『本格王2020』(講談社)に収録される。2021年には「#拡散希望」(「小説新潮」掲載)で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。同年、3冊目の長編作品である『救国ゲーム』を刊行し、第22回本格ミステリ大賞の候補作に選出される。
出版社より引用
感想(ネタバレあり)
ここからは、ネタバレありの感想を書いていきますので、読みたくない方は読まないで下さい!
「惨者面談」…母親が偽物で犯人だということはかなり最初の方で予想できました。息子が問題の答えに「110」ばかり書く所で確信に変わりましたが、息子も偽物だということは、分かりませんでしたねー。
偽物の息子も、警察が来たら自分も捕まってしまうかもしれないのに、さすがにまずい状況だと思ったんでしょうか。
「ヤリモク」…僕がマッチングアプリ殺人事件の犯人だということは予想できたし、マナが何か企んでることもわかったので、最後どうなるかと思いながら読みました。
そんなに意外性はなかったかな…。
「パンドラ」…どこかでこういう話、読んだことがある気がするんですよね。
しかも、少し前に読んだ本も、精子提供が絡んだ話でした(笑)
血液型が思っていたのと違うって話もよく聞くし、ミステリーでも割と題材になってる感じもするので、この話もそんなに驚きはしなかったかな。
「三角奸計」…桐山の交際相手が宇治原の婚約者なのは予想できましたが、茂木の家にいるらしい女も、宇治原の婚約者なのか、と予想してしまいました(笑)
3人とも同じ1人の女と関係を持ってることが分かった!みたいな展開かな、と(笑)
さすがにそこまでひどい女じゃなかったか…。
でも、宇治原もそんな簡単に殺さなくてもいいのに。というか、そんな簡単に人を殺せるの怖すぎですよね。
「#拡散希望」…やっぱりこれが一番インパクトあったかな。
子供の名前がキラキラネーム過ぎて、まず衝撃!
親がコソコソしてるのはYouTuberなのかな、って予想はできました。
それにしても、3人の親が最悪すぎるし、こんなYouTuberが移住してきたら島の人も大迷惑ですよね。
面白かったけど、なんだかモヤモヤする話でした。
どれもめちゃくちゃどんでん返しかと言われるとそこまでではないし、騙されるまではいかなかったので、少し物足りなさはありますが…面白いのは面白いです。
簡単に人を殺し過ぎな点も少し気になりましたが…。
Twitterとか読書メーターなんかを見てると、少し期待し過ぎたかな…という感想もまあまあ見かけるので、普段ミステリーをたくさん読んでいる人と、そうでない人で、感想は分かれるのかもしれないですね。
まとめ
普段あまりミステリーを読まない人や、読書をしない人などには、かなりおすすめできる本だと思いました。
まだまだ若い作家さんなので、これからも期待できそうですね!