本のむし子

40代主婦の読書日記ブログです。読んだ本の感想などを気ままに書いていきます。


こんにちは!

薬丸岳さんの新刊「最後の祈り」について詳しくまとめます!



この本を読んだきっかけ

大好きな作家さんなので、新刊は買うと決めています!
 前作の「罪の境界」のサイン本がけっこう出回ってて、あー欲しかったーと後悔していたので、今回はサイン本狙いで、無事ゲットしました!!
人生初のサイン本なんですよ~嬉しい!!


こんな人にオススメ

・社会派ミステリーが好きな人 
・人間ドラマに焦点を当てたミステリーが好きな人 
・「教誨」「教誨師」について知りたい人 
・薬丸岳さんのファンの人


「最後の祈り」あらすじ

殺人犯と、娘を殺された父。 死刑執行を前に、 命懸けの対話が始まる。
娘を殺した男がすぐ目の前にいる。
贖罪や反省の思いなど微塵も窺えないふてぶてしい態度で。

東京に住む保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。
妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。
牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。
今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。
煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。
死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。動機なき殺人の闇に迫る、重厚な人間ドラマの書き手・薬丸岳の新たな到達点。

出版社より引用


著者・編集者のコメント

著者 薬丸岳さんのコメントはこちら!

「死刑になりたいから人を殺した」
「誰でもいいから人を殺したかった」
世間で無敵の人と呼ばれる凶悪犯には心がないのか。
いや、そんなはずはないという祈りを込めました。
ぼくの作品の中で最も重く苦しい物語です。どうか覚悟してお読みください。

楽天ブックスより引用


担当編集者のコメントはこちら!

「罪を憎んで人を憎まず」と言いますが、実際に愛する人を殺されたら、そうすることはできるのでしょうか? 
この究極の問いを突き付けられるのは、牧師であり、無償で受刑者の精神的救済もしてきた主人公・宗佑です。
品行方正に生きてきたのではなく、過去に犯した罪の罪悪感に苦しんできた宗佑。
自分が救われたように、人々を救いたいという強い気持ちを持って真摯に仕事に取り組んできた彼が、何よりも大事にしてきた娘を惨殺されたらーー。
復讐という動機で犯人に接する宗佑に湧きおこる、まさかの感情。
犯人と、彼をこの世で一番憎んでいる宗佑との対話。
重いテーマではありますが、読む人の心を揺さぶる傑作です。ぜひご一読ください。

楽天ブックスより引用


この本で描かれていること

「教誨師」「刑務官」の仕事の過酷さ

「刑務官」という職業は知っている方が多いかと思いますが、「教誨師」という仕事については、この作品を読んで初めて聞いた方もいるかもしれません。
「教誨」とは 、受刑者等が改善更生し、社会に復帰することを支援する仕事です。
 「教誨師」とは教誨を行う者のことで、 無報酬で、多くの場合、僧侶や牧師など宗教家が、その役割を担います。
受刑者が死刑囚の場合、教誨師は、拘置所で死刑囚と面談できる唯一の民間人となります。
この作品は、教誨師の保阪宗佑と刑務官の小泉直也が語り手となる部分が多いので、彼らの心情が細かく描かれているのですが、その仕事の大変さや過酷さがひしひしと伝わってきます。
精神面ですごく大変な仕事だと思います。
ちなみに、柚月裕子さんの「教誨」という作品の記事でも紹介しましたが、私が教誨師のことを知るきっかけになった本があります。
実際の教誨師の方への取材をもとにしたノンフィクション作品ですが、半世紀にわたり、教誨師として生きた一人の僧侶の人生を通して、教誨師という仕事について書かれた作品です。
もし、興味があれば、読んでみて下さい。

この作品に出てくる教誨師さんもそうなのですが、アル中になってしまったりと、普通の精神状態ではいられないほどの仕事であることがわかります。  

贖罪の在り方

ここ最近の薬丸さんの作品は「贖罪」をテーマにしたものが多いと感じています。
前作の「罪の境界」や、昨年夏に文庫化された「告解」も、贖罪がテーマの一つになっていましたが、今作も贖罪の在り方がテーマの一つであるかな、と思いました。
この作品に出てくる犯人は、罪の意識を全く持っていないのですが、教誨師の保阪と対話することによって、意識が変わり、罪の意識を感じるようになるのでしょうか。
また、詳しくは書けませんが、教誨師の保阪もある過去の過ちに対して罪の意識を持っています。
彼もまた、自分の罪とどう向き合うか悩んでいるのです。


感想(ネタバレなし)

前作の「罪の境界」が発売されたのが昨年の12月だったので、ずいぶん早く新刊が出るなぁ~と喜んでいたのですが、「小説 野生時代」という文芸誌に2020年11月から連載されていた作品のようですね。
さすがに文芸誌の連載まではチェックし切れてなかった…。
最近の薬丸作品は、加害者や被害者に視点を当てて、その人物たちの心情を丁寧に描いた人間ドラマが多いですね。
なので、最近の作品は少し似ている感じもしますが、重いテーマを扱っているにも関わらず、スラスラ読めてしまうのが薬丸作品です。
薬丸さんファンなので、いつも贔屓目の評価になってしまっているかもしれませんが、今作もまた重厚な人間ドラマになっていて、私は好きですねー。 読み終わって、涙が出ました。
教誨師の保阪は、自分の娘を殺した加害者の石原に復讐しようと決意し、彼の教誨をするのですが、その中でかなり葛藤することになります。
全く関係のない人物の教誨をするだけでも、普通の精神状態ではいられないほどなのに、自分の娘を殺した人物と向き合うわけですからね…。
読んでいても、苦しくなる場面がすごく多かったです。
物語が進む中で、石原の育った境遇や生い立ちが徐々にわかってくるんですが、薬丸さんの作品を読むと、加害者にもいろんな事情があって、つい同情して許してしまいたくなるんですよね。
実際に自分が被害者側の立場になったら、絶対に同情なんてしないし、絶対に許せないとは思うんだけど…。
教誨を通して、石原がだんだん保阪に信頼を寄せるようになっていくのですが、保阪もそれを感じているので、なおさら葛藤することになるんですが、そこがまた読んでいて辛かったです。
刑務官の小泉の視点から語られる部分も多かったのですが、死刑に立ち会うことの精神的苦痛は、本当に想像できないものであると思いました。
自分が人を殺してしまったという罪悪感をずっと持つことになると言います。
いくら仕事とはいえ、平気で人を殺せるわけはないですよね。
教誨師も刑務官もよほど精神力が強い人でないと、かなり難しい仕事なのではないでしょうか…。  
薬丸さんはこの作品を「ぼくの作品の中で最も重く苦しい物語」だと言っていますが、確かに終始重苦しい場面が続き、明るさを感じる場面はほぼ無いかもしれません。
登場人物がみんな重たいものを抱えている人ばかりですしね。
薬丸作品は基本的に重いので、この作品が最も重く苦しいかと言われるとわかりませんが…。
刑務所や拘置所が舞台なので、閉塞感みたいなものもあり、なおさら重苦しく感じるのかもしれません。
薬丸作品に慣れている人は大丈夫だとは思いますが、初めて読む人やあまり読んだことがない人は、覚悟して読んだ方がいいかもしれません…。
薬丸さんのこういった作品はもちろん好きなのですが、犯人は誰?この話どう展開するのー?みたいなハラハラするようなミステリーも、また書いてほしいなぁとも思います。  


著者紹介

1969年兵庫県明石市生まれ。駒澤大学高等学校卒業。2005年、『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。連続ドラマ化された刑事・夏目信人シリーズ、『友罪』『ガーディアン』『告解』など多数の作品を意欲的に発表している。
出版社より引用



感想(ネタバレあり)

ここからはネタバレありの感想を書いていきますので、まだ読んでいない方は注意してください!!

 
 

保阪の過去の過ちがまたけっこうな過ちでしたね…。
それは一生かけて償わないといけないと感じるのも無理ないですね。
真里亜が、石原の教誨をすることによって復讐できないかと、保阪に持ちかけるわけですが、それはちょっと強引じゃないかとは思いました。
自分が復讐する方法がないからといって、教誨師という仕事の辛さを知っていたら、なかなか頼めることではないんじゃないかな…と。
でもその復讐計画がないと、物語が成り立たないか…。
裁判で死刑が確定しても何もすっきりしない、というのは当然あるとは思いますが、死刑になるその瞬間まで復讐したいと思うものなのか、私には想像できません。
保阪は石原の教誨をするにつれて、石原のことを許したいと思うようになったり、やっぱり許せるわけないと思ったり、心境が揺れまくったと思います。
石原の死刑執行がもう少し後だったら、もっと他の心情が芽生えていたのかな。
石原にもっと反省する態度が見えてきていたら、どうだったのかな…。
最後、石原なりの贖罪の形がわかって、なんだかやるせなかったですね。
死刑執行の場面から最後は、読むのが本当に辛かったです。
読み終わって涙が出ましたが、何の涙かと言われると説明が難しいです。
何ともやるせないというか悔しいというか。
石原の生い立ちのせいでこんな事件が起こってしまったのだとしたら、彼にもし違う人生があったら、こんな事件は起こらなかったのかな、と思ってしまいますよね。
保阪も、教誨を通して、石原に「死にたくない」と思わせることができたのは少しでも復讐ができた、と捉えているようですが、きっと今後も一生どこかすっきりしない思いを抱えて生きていくのではないでしょうか。
保阪は、優里亜のことも由亜のことも、石原のことも、どれもすっきりしないままですよね。辛すぎますね…。
読者視点では、最後に保阪が石原に「わたしが許した…」と言ったのを聞いて、何となく救われた気にはなりましたが、これからの保阪の人生を思うと、なんとも救いがないというか…。  
この作品について書評家さんが、「なぜ裁判でも証言しなかった由亜の最期の言葉を、石原は宗佑に伝えたのか? その真相は作中で直接的には記されていないのだが、おそらくこうであろうと行間から感じ取ることになった瞬間、戦慄した。」と書いているのですが、皆さん行間から読み取れましたか?
私は、ただ単純に、石原が姉の遥と接したことによって、由亜の最期の言葉を誰かに伝えないといけないと感じたからかな?と思ったのですが、もっと他に理由があるのでしょうか?
石原が、由亜の父親が保阪であると知っていた、とかでしょうか?
私はそれは知らないんじゃないかと思ったんですけど、どうなんでしょうか?
誰かどういうことかわかったら、教えてくださーい!


まとめ

薬丸岳さんの最新刊「最後の祈り」についてまとめました。 薬丸さんらしく重くて苦しい物語でしたが、登場人物の心情が細かく描かれていて、素晴らしい作品だと思います。 ぜひ、読んでみてください!!


最後までお読みいただき、ありがとうございました!





こんにちは、むし子です!


4/12に2023年本屋大賞】が発表されました!

結果についてまとめたいと思います。
 

ノミネート10作品を全て読んで、個人的な好みによるランキングや大賞予想を書いた記事もあるので、よろしければご覧ください。

この記事、予想以上にたくさんの方が読んでくださっていて、本屋大賞って世間的にも注目されているんだなぁ~って実感しました。
読んでくださった方、ありがとうございます!
さぁ、私の予想は当たったのでしょうか!?

【2023年本屋大賞】結果発表!!

さぁ、さっそく結果を発表しましょう!!
ブログ記事を書いた作品が多いので、記事も貼り付けておきます。読んでいただけたら、嬉しいです。
さぁ、まずは10位から!!


10位 『#真相をお話しします』結城真一郎


【あらすじ】
子供が四人しかいない島で、僕らは「YouTuber」になることにした。
でも、ある事件を境に島のひとたちがよそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)。
日本の〈いま〉とミステリが禁断の融合! 
緻密で大胆な構成と容赦ない「どんでん返し」の波状攻撃に瞠目せよ。
日本推理作家協会賞受賞作を含む、痺れる五篇。 出版社より引用

 
位 『川のほとりに立つ者は』寺地はるな


【あらすじ】
カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。 出版社より引用

 
位 『宙ごはん』町田そのこ


【あらすじ】
この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。
厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。
二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。
待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。
代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。
花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。
ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。
その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。 出版社より引用

 
位 『方舟』夕木春央


【あらすじ】
9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か? 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。 タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。 出版社より引用

 
位 『君のクイズ』小川哲


【あらすじ】
生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。
いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。
読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される! 
「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント! amazonより引用

 
いよいよ、上位5作品の発表です!!
位 『月の立つ林で』青山美智子


【あらすじ】
似ているようでまったく違う、
新しい一日を懸命に生きるあなたへ。 最後に仕掛けられた驚きの事実と
読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、
『木曜日にはココアを』『お探し物は図書室まで』
『赤と青とエスキース』の青山美智子、最高傑作。 長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。 つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの思いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。 出版社より引用

 
位 『爆弾』呉勝浩


東京、炎上。正義は、守れるのか。 些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。 出版社より引用

 

スト3の発表!!
 

位 光のとこにいてね一穂ミチ


【あらすじ】
――ほんの数回会った彼女が、人生の全部だった―― 古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。
着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。
彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。
ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。
どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。 ――二人が出会った、たった一つの運命
切なくも美しい、四半世紀の物語―― 出版社より引用

 
位 『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒


【あらすじ】
少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り…… 想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説! 出版社より引用

さあ、栄えある1位に輝いた作品は!!
 

 汝、星のごとく凪良ゆう


【あらすじ】
その愛は、あまりにも切ない。 正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。 ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。 風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。 ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。 出版社より引用


結果得点まとめ

順位 書籍名 得点
大賞 『汝、星のごとく』 443.5点
2位 『ラブカは静かに弓を持つ』 388点
3位 『光のとこにいてね』 337点
4位 『爆弾』 307.5点
5位 『月の立つ林で』 254.5点
6位 『君のクイズ』 244点
7位 『方舟』 232点
8位 『宙ごはん』 225.5点
9位 『川のほとりに立つ者は』 224.5点
10位 『#真相をお話しします』 86.5点

大賞がけっこうぶっち切ってますね!すごい!


予想は当たったのか!?&感想

さてさて、私の予想は当たったんでしょうか!?
 

事前の予想は…
 
大賞『汝、星のごとく』凪良ゆう 2位『宙ごはん』町田そのこ 3位『光のとこにいてね』一穂ミチ 4位『月の立つ林で』青山美智子 5位『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒
 
と予想していたので、な、なんと!!大賞は予想的中しましたーっ!!わーい!!
  汝、推してる人、本当にたくさんいましたもんね。納得の大賞です。
 凪良ゆうさん、おめでとうございます!
  授賞式のスピーチがまたよかったです、感動しました。観ていない方は観てみてください。
  (ちなみに、昨年受賞の逢坂冬馬さんのスピーチもよかった。)
そして、3位も的中
  4位と5位に予想した2作品もそれぞれ5位と2位に入ったので、まあまあ悪くない予想だったのではないでしょうか…。
  ラブカは個人的好みで1位に推してたので、予想ももっと上にしておけばよかった…。

ごめんよ、ラブカ。私は大好きよ、ラブカ。
  2位に予想した『宙ごはん』はなぜか8位という結果でしたが…、これは意外でしたね…。
  大賞の汝~とか3位の光の~と似たような感じの作品だと思ったんですけど、逆にそれが良くなかったのかな。
  『方舟』と『爆弾』が何位に食い込んでくるのかが読めなかったのですが、『爆弾』が4位に食い込んできましたねー。
  『方舟』は1位と予想していた人もけっこう見かけたので、予想よりは低い順位だった印象もありますが、ミステリーが上位に入るのは、なかなか厳しいのかもしれませんね。
  『爆弾』もミステリーですが、社会派ミステリーなので、そちらの方が心に訴えかける部分が大きかったのかもしれないな、と思いました。
  『方舟』は衝撃度で言えば、すごかったですが。
  衝撃度というか、注目度という点では、『方舟』もすごいんですが、このブログへのアクセス数という点で言うと、圧倒的に10位の『#真相を~』がぶっち切ってます。
  個人的に世間的注目度大賞を授けたいくらいの注目度だと思います。そんなん要らんって?(笑)
  ただ、どのあたりの層にそんなに注目されているのか、よくつかめてません…。若い方でしょうか。
  そして、『君のクイズ』が思ったより上位に来た印象ですが、好きな作品なので嬉しい。
   個人的に残念だったのが、青山美智子さんの5位(涙)
  4位と予想したものの、青山さん大好きなので、本当は3位以内には入ってほしかった…。
  去年、一昨年と続けて2位だったので、今年こそはという声も大きかったようですが…。
  来年もまた頑張ってほしいです!!
  9位の寺地さんも個人的に好きなので、また頑張ってほしいです!
  どれも注目作&話題作&力作揃いで、Twitterでもいろんな意見や感想を見ることができて、どれが獲ってもおかしくない雰囲気がありましたが、凪良さん強かったー!
  そして、授賞式の会場の雰囲気が、本当に熱くて、本好きの方たちが集まっている感じが伝わってきて、観ている私もなんだか熱くなってしまいました。
  私も書店員になりたいなー、推しの本のポップとか作ってみたいなー、なんて思いましたよ。
  せめて書店員じゃなくても、書店利用者でも投票出来たらいいのにー、なんて思っちゃいました。


まとめ

というわけで、2023年本屋大賞について、まとめてみました!
  私もノミネート作品を全部読んで予想してみたりして、ちょっとしたお祭り気分で大賞発表を楽しむことができて、すごく嬉しかったです。
  来年も同じように予想したりしたいところですが、最近は流行っている作品をあまり読もうとしていないので、無理かもしれません…。
  それでも、本屋大賞には注目してしまうとは思いますが…。
  皆さん、来年もまたこの時期を楽しみに待ちましょう!!

最後まで、お読みいただき、ありがとうございました!!




こんにちは!

椎野直弥さんの「僕は上手にしゃべれない」について詳しくまとめます!



この本を読んだきっかけ

Twitterの読書アカウントで、いつもやり取りさせてもらってるフォロワーさんのおすすめ本です。
児童書ですが、以前にも見かけたことがあり気になっていたので、読んでみました。


こんな人におすすめ

・小学校高学年~高校生くらいの人 ・吃音について知りたい人 ・周りに吃音症の人がいる人


「僕は上手にしゃべれない」あらすじ

吃音の悩みを抱え中学生になった悠太。思い切って入部した放送部にいたのは同じクラスの女子で…。
葛藤と成長の、胸打つ青春物語。 小学校の頃から吃音に悩んできた主人公・柏崎悠太は、中学入学式の日、自己紹介のプレッシャーに耐えられず、教室から逃げ出してしまう。
なんとかしたい思いから、「誰でも上手に声が出せるようになります」という部活勧誘チラシの言葉にひかれ、放送部に入部する。
クラスメイトで同じ新入部員女子や、優しい先輩、姉など周囲の人に助けられ、途中くじけながらも少しずつ変わっていく悠太の、葛藤と成長の物語。 出版社より引用


著者の思い

著者の椎野直弥さんは、この作品について、次のような思いで書かれました!

この話を書くときに、物語として面白いのはもちろん、それ以外にも吃音を知らない人が読んだときに、吃音のことひいては吃音者の思いを理解できるものにしたいなという考えがありました。
吃音に悩んでいる人が、この人にだけは吃音を理解してほしいと思ったとき、説明に費やす多くの言葉の代わりに、この物語がなれたらという思いで書きました。
「俺(私)、この本の主人公と同じなんだ」という一言だけで、すべてを伝えられる物語にできたら。
だから必然的に、主人公は吃音者になりました。
そして彼の年齢は、僕が一番吃音について思い悩んだ時期である中学生にしました。
でもこれは、作者である僕の物語じゃありません。
他の誰でもない、吃音に悩み、立ち向かった一人の少年の本気を、物語にしたつもりです。


この本のテーマ

吃音に悩む少年の成長物語

吃音について知らない人もいるかもしれないので、少し説明します!

吃音」とは… 話す時に最初の一音に詰まってしまうなど、言葉が滑らかに出てこない発話障害の1つ。主な症状には3つあります。
  • 「ここここ、こんにちは」と言葉のはじめの音を繰り返してしまう「連発(れんぱつ)」
  • 「こーーんにちは」と音が伸びてしまう「伸発(しんぱつ)」
  • うまく言葉が出ずに間が空いてしまう「難発(なんぱつ)」
幼児期に発症する「発達性吃音」と、疾患や心的ストレスなどによって発症する「獲得性吃音」に分類され、その9割は発達性吃音であるそうです。
日本には吃音症の人が、約120万人(100人に1人)いると言われています。
主人公の柏崎悠太は吃音に悩む中学一年生です。
あらすじ紹介にもあるように、中学入学式の日、自己紹介のプレッシャーに耐えられず、教室から逃げ出してしまうのですが、「上手に声が出せるようになる」という放送部のチラシを見て入部を決意します。
悠太がどのような成長を見せるのか、ぜひぜひ読んでみて下さい!


感想(ネタバレなし)

一応児童書なんですけどね、大人にもすごくおすすめです! もう涙腺崩壊しましたよ、私。
後半はずっと泣きっぱなしで涙が止まらなくて、泣き疲れて頭が痛くなるほどでした。
吃音のことをよく知らないっていう人たちに、ぜひたくさん読んでほしいな、って本当に思います。
私もよく知っているわけではなかったけど、吃音については知っていましたし、世間的にもみんな知ってるんだろうなって思ってたんですが、吃音への理解はまだまだされていないのでしょうか。
中学の時のクラスメイトにも吃音症の子がいましたけど、誰もからかったりしてなかったし、もちろんいじめもなかったので、中学生くらいになればみんな理解していると思ってたのですが…。
でも、私ももしかしたらそのクラスメイトの子がいたから、吃音について知ったのかもしれないな…なんて思いました。

有名人だと、田中角栄さんとかアメリカ大統領のバイデンさんとかも吃音だって有名ですよね。
私は観ていませんが、「英国王のスピーチ」という映画も、吃音症の英国王の話だったりします。
もっと吃音のことが世の中でも理解されたらいいですよね。  

この物語の悠太のように、学校でからかわれたり、いじめにあったりという辛い学校生活を送っている人がたくさんいます。
また、社会でも、就職活動の面接で上手く話せないからという理由で落とされたり、接客業をやってみたいのにあきらめなければならない人も多いようです。
そして、吃音症といっても、話をさえぎらずに最後まで聞いてほしい人、途中で助け舟を出してほしい人、いろんな考え方があるようです。
「ゆっくり話してね」や「落ち着いてね」などと言うことが逆効果になるそうですね…。
そして、吃音症だからといって、話すことが大好きっていう方もたくさんいるんですよね。
この作品を読んで、吃音について調べたり、吃音症の方のインタビューなどを読んだりしましたが、皆さんおっしゃられていることは、吃音についてもっと知ってほしい、吃音の苦しみを知ってほしい、ということだと感じました。

自殺を考えるほど苦しんでいる人が多い、ということは、私も知りませんでした。
著者の椎野さんも言っていますが、子供時代、特に中学生くらいの子にとっては、毎日の学校生活が辛いというのは、本当に悩むだろうな、と思います。
この物語を読んで、もし吃音を持つ人と接することがあったら、どう接したらいいんだろうか、ということについて考えました。
吃音について変に理解してる風にするのは良くないだろうし、かと言って気付かない風にするのもおかしいだろうし、もう普通に接して普通に会話するのが一番いいのかなって、私は思ったんですが、どうでしょうか…。
吃音症ではない人と話す時もそうですけど、相手の話をよく聞くことって、当たり前のようで実はできてなかったりしますよね。
途中でさえぎってしまったり、変なタイミングで相槌を打ってしまったり、とか。 私なんてせっかちなので、「聞く力」みたいなのが足りてないかもしれないんですけど(汗)、そういうせっかちな人とはしゃべりにくいだろうなと思うので、今後気をつけていかなきゃいけないですね。
吃音に限らず、いろんな個性を持った人が認められる時代になってきたと思うので、どんな個性であっても、まずは理解しようとすることが大切なのかなと思います。

そして、この物語でも主人公の悠太が感じていることですが、どんな人でもそれぞれの悩みを抱えていて、自分だけが辛いんだというわけではないことですね。
悠太を支えてくれている周りの人にもそれぞれ悩みがあって、みんなが支え合って思い合っている姿が素敵でした。
そうやって支えて理解してくれる人が周りにいるなら、どんどん甘えて助けてもらったらいいんじゃないかなぁって思いました。
悠太と周りの人たちの間で、いろんな勘違いや誤解があったけど、理解しようとしてくれる人に対してなら、ぶつかってもいいから、本音を言ったり思ったことを正直に言ったりしてもいいんじゃないかな、と思います。
周りに信頼できる人がいなかったら、困難に立ち向かって行く勇気も得られなかったかもしれないし、悠太は理解してくれる家族や友達・先輩に出会って、世界が変わって、本当によかった。
吃音がテーマではあるけど、何か悩みを抱えている子供たちにも、ぜひ読んでほしい作品だと思いました。


吃音がテーマのおすすめ作品

この作品を読む前に、吃音がテーマの物語を読んだことがありました。
たぶん、知っている方も多いかとは思いますが、すごく心に残る作品だったので、紹介させて下さい。
重松清さんの「きよしこ」と「青い鳥」という作品です。

重松清さんの作品は有名なものがたくさんありますが、この2冊は吃音がテーマになっています。

重松さん自身も吃音症であり、吃音がなければ作家にはなっていなかっただろう、とおっしゃっています。
「きよしこ」は自伝的な作品であり、「青い鳥」は吃音症の先生の話ですが、どちらも吃音を抱える人に圧倒的に支持されている作品だと思います。
重松さんは教師になりたかったけど、吃音があるために諦めたそうで、「青い鳥」の主人公である村内先生は、重松さんのヒーロー的存在として書かれたそうです。
「きよしこ」もよかったのですが、「青い鳥」は号泣してすごく記憶に残る作品だったので、今回の椎野さんの作品を読んで、また再読したいなと思いました。
もし読んだことがなければ、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。


著者紹介

1984年(昭和59年)、北海道北見市生まれ。
札幌市の大学を卒業後、仕事のかたわら小説の執筆を続け、第四回ポプラ社小説新人賞に応募。
最終選考に選ばれた応募作「僕は普通にしゃべれない」を改稿した本作でデビュー。 amazonより引用


まとめ

椎野直弥さんの「僕は上手にしゃべれない」についてまとめました。
吃音について知っている人も、知らない人も、子供でも大人でも、あらゆる人に読んでほしいと思える作品でした。
 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!



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